アメリカ最前線リポートVol.40 :政府閉鎖が続くアメリカ
ー 今週のリポートー
アーカス・リツコ(メルマガ編集長)
アメリカ最前線リポートVol.40
【政府閉鎖が続くアメリカ】
ニュース等でご存じのとおり、アメリカ政府閉鎖が続いています。
10月6日、米上院は政府機関の閉鎖終了に向けた
与野党のつなぎ予算案を再び否決。
否決はこれで5回目となり、11月21日までの資金を手当てする共和党案と、
医療費削減の撤回を盛り込んだ民主党案のいずれも十分な支持が得ることができず、
この原稿を書いている10月13日現在も政府閉鎖の再開の目途は立っていません。
すでに米国史上4番目の長さとなっている
今回の政府機関閉鎖が長期化するリスクをさらに高めているのが、
トランプ大統領が政府機関閉鎖中の10日に打ち出した
恒久的な人員削減の命令で、民主党やアメリカ国民の強い不信感を招いています。
今回の政府閉鎖は、
上院が9月30日に行われた決議で
政府を現行予算で11月21日まで運営する共和党支持の
「つなぎ予算(continuing resolution)」が55対45で否決され、
可決に必要な60票に届かなかったことが発端です。
下院では共和党同案が217対212で可決済みですが、
上院を通すには少なくとも民主党7人の支持が必要です。
最大の争点は、年末で失効される予定の
オバマケア関連の連邦税額控除を民主党が延長しようとしている点です。
トランプ大統領はホワイトハウスで、医療費を巡り、
民主党との協力に前向きだと述べましたが、
共和党上院トップのシューマー院内総務は交渉は行われていないと述べるなど、
双方の主張は食い違っています。
また、トランプ政権は政府閉鎖を利用して、
民主党が主導する州や優先課題を狙い撃ちする一方で、
みずからの重要課題の一部は維持するなと、
不公平な対応をしていることで市民からは批判が高まっています。
米行政管理予算局(OMB)は、
数日のうちに
解雇が始まる可能性があると警告しており、
対象となる人々は不安を募らせています。
政府閉鎖が起こっても、
社会保障、メディケア、メディケイド、
退役軍人向け年金や障害給付、
連邦学生ローンは支払いが行われ、
補助的栄養支援プログラム(SNAP)や
女性・乳児・子供を支援するその他の連邦プログラムも
「資金が続く限り」継続されます。
郵便局、パスポートとビザの発給業務などは、
歳出でなく手数料収入で運営されるため、
業務も通常通り続くようです。
また、国立公園は開放されますが、
多くの職員は休職となり、
「生命・財産保護活動に欠かせない」人員や、
法令で義務づけられた職員のみが
勤務を続けている状況です。
その一方で、
連邦住宅局による新規ローンの受付は停止し、
食品医薬品局(FDA)や環境保護庁(EPA)による
定期検査も縮小または停止、
国立衛生研究所(NIH)による大学などへの
研究助成金も凍結されます。
日本の方に影響があるとすれば、
空港の管制塔で業務に当たる航空管制官が足りなくなり、
空の便に影響が出ることだと思います。
前回の閉鎖では、航空管制官や空港保安局職員の一部が
無給となるために勤務を拒否し、
大規模空港で遅延が発生したことはご記憶の方も多いと思います。
10月7日の夜のFAAの運用計画によると、
ヒューストンやニューアーク、ラスベガスの進入・離陸管理施設では、
一部の時間帯、管制官がいない状況で、
ボストンやアトランタ、フィラデルフィア、ダラスの管制施設も同じ状況です。
ダフィー運輸長官は、無給で働くのが嫌で
病欠を申し出る管制官は今後さらに増えるとの見方を示しています。
航空管制官は運輸保安庁の要員と同じく必要不可欠な職員とみなされ、
政府予算の失効中も勤務が求められ、
連邦法上、ストライキや病欠のような手段による組織行動は禁じられているのですが、
病欠を理由に仕事に来ない職員を無理やり働かせることはできません。
今後、航空管制官の不足により、
空港の閉鎖なども起こりえますので、
近々にアメリカへ渡航予定のある方は、空港の状況をよく確認してからお出かけ下さい。






