TOPへ

BLOG
  1. トップページ
  2. BLOG

【アメリカ最前線リポートVol.43】 一般教書演説(State of Union)

ー 今週のリポート(2) ー
アーカス・リツコ(メルマガ編集長)
【アメリカ最前線リポートVol.43】
・一般教書演説(State of Union)

アメリカのドナルド・トランプ大統領は2月24日夜、
連邦議会の上下両院合同会議で、
施政方針を示す一般教書演説(State of Union)を行いました。
演説は歴代最長を記録する約1時間50分にもわたり、
経済政策に多くの時間を割き、
ホワイトハウスに戻って1 年で
「歴史的な転換」を成し遂げたと自画自賛。
共和党が、起立して拍手を行う中、民主党員がしらけ顔で首を横に振ると、
いつまでも拍手を求めて次に進まないなど、いつも通りのトランプ節は健在でした。

アメリカの経済については、
バイデン前大統領から引き継いだ時はひどい状況だったが、
「私たちの国は復活」し、
「黄金時代」と「手頃な価格の時代」の到来を強調しました。
また、エネルギーに関しては、
2025年に内務省が4件の石炭リース販売を実施し、
4,700万ドルを生成、8,240万トンの石炭開発を提供する。
そして、 2026年1月9日には、内務省が全ての法執行官に対し、
3.8%の賃上げを発表する。
治安についても、
80以上のホームレスキャンプが連邦政府の土地から撤去した、
暴力犯罪は低下していると意気揚々と述べましたが、
経済成長は堅調ではあるものの過去最高ではなく、
実質GDPは減速し、失業率は上昇しています。

また、大統領は、世界中から流入する18兆ドル以上の資金を
確保したと述べましたが、
具体的なことや、使い道も一切述べませんでした。
様々な企業や諸外国の声明、ホワイトハウスのウェブサイトと照らし合わせても、
この数字は誇張された憶測に基づいており、
実際の金額を大幅に上回っているように思われます。
ホワイトハウスのウェブサイトでは、
18兆ドルの半分程度の9兆6000億ドルという数字が提示されており、
この数字にはバイデン政権時代に行われた
投資コミットメントも含まれているようです。

世界中を混乱させている関税については、
「我が国を救うものであり、我々が当然受け取るべきものだ」
と述べましたが、
トランプ関税の収入は事実として、
政府の年間財政赤字に打撃を与えるほどの規模ではなく、
製造業の雇用増加にもつながっていません。
最高裁判所が緊急事態宣言に基づき、
トランプ関税を無効とする前に、
議会予算局は、トランプ大統領の新たな増税によって
10年間で3兆ドル、年間3000億ドルの歳入が見込まれると
試算していましたが、
これは「庶民のため」に使われるのではなく、
企業と富裕層を優遇する、
追加の利子引き下げを含む4兆7000億ドルの減税の費用を賄うためと
言われています。
加えて、昨年1兆7800億ドルに達した年間財政赤字の削減にも不十分です。 
一体、何のための関税なんでしょう、と言わざるをえません。

イランに対しては、核開発計画を進めないよう警告しました。
米軍は、中東地域で過去20年間で最大規模の戦力増強を進めており、
イランに対する軍事攻撃の可能性が取り沙汰されていますが、
トランプ氏はこの件については、自らの考えを明確にはしませんでした。

今回の演説のファクトチェックによると、
かなりの誇張がみられる演説でした。

アメリカでは今年11月、上下両院などを対象とした重要な中間選挙があり、
最近の世論調査によると、
トランプ政権の政策については、
国民の支持が低下していることが示されていますが、
今回の演説によって、
どれほどの国民の心が動かされたかは微妙なところです。

演説後、民主党を代表して、
アビゲイル・スパンバーガーヴァージニア州知事が反論の演説を行い、
「大統領は問題なく生活できる環境を作ろうとしているか」、
「米国民の安全を国内外で守ろうとしているか」、
「大統領はあなたのために働いているか」

という3つの質問を国民に投げかけました。
そして、彼女自身の答えはすべて「ノー」だと主張し、
「大統領はいつも通り、嘘を並べ、スケープゴートをつくり、人々の注意をそらした。
国の差し迫った課題に対する真の解決策を何も示さず、多くの課題を自分自身で悪化させている」
と批判しました。
分断されたアメリカの混乱はまだまだ続きそうです。

Copyright © CREATIVE VISION. All Rights Reserved.