「やってみなはれ」的海外出展のすゝめ
ー CVスタッフのコラムー
By清水保彦(CVプランニング・ディレクター)
「やってみなはれ」的海外出展のすゝめ
「やってみなはれ」は、サントリー創業者の鳥井信治郎氏の言葉。
その後に「やらな分かりまへんで」と続く。
CESなど海外展示会への出展をお手伝いしていると、
実にこの「やらな分かりまへんで」を実感することが多い。
今回は、そんな「やらな分かりまへんで」を例に、
「やってみなはれ」的に海外出展をお勧めしたいと思います。
※なお、「」中は大阪弁表記です。
日本の常識が通用しないこと
「行かな分かりまへん」
●請求書が来て、翌月以降に支払う。
日本の商習慣では常識になっていますが、海外の展示会では非常識なことになります。
見積書は来ますが、請求書は来ません。
見積金額を了承したら、いきなり前払いです。
支払い期限を越えると、金額が上がります。
この支払いが確認されるまで、展示会事務局も施工も電気も貨物も一切動きません。
ということで、終了後の値引きとか下請け業法違反なことも可能な日本企業の常識は
いっさい通用しません。
●展示台の位置とかロゴの掲出位置を、会期前日に現場で見ながら決めていく。
日本の展示会ではよく見る光景ですが、海外でこれをやると、
バカ高い追加支払いが待っていることになります。
あらかじめ決定されたものを、あらかじめ決定された位置に置く。
見積りに従って払ったお金は、そのためのお金です。
それ以上のことを命じると、当然追加料金が発生します。
(追加作業を受けてもらえない場合も多いです)
(本来は日本でも当たり前のことのはずですが・・・)
あ。じゃ、自分たちでやるから。というのは無しです。
現地のユニオンに属していない人が施工するのは
ルール違反として扱われ、最悪出展を取り消される場合もあります。
上の2つ。よく考えてみると、日本の常識の方が非常識だと思えます。
お金を払わないと、ものは買えない。
追加作業には、追加の料金がかかる。
当たり前と言えば当たり前。
日本の常識を疑う視点も「行かな分かりまへん」。
ガラパゴス化していること
「行かな分かりまへん」
国内展示会で、国内向けの製品を説明する。
これがとってもやりやすい理由が分かりますか?
聞く方が“勉強”しようとする姿勢だからです。
初めて接する製品の仕組みや機能の説明を、
自分の頭で何とか理解しようとしてくれるからです。
製品も、“日本のニーズ”に合わせて作られているからです。
説明を聞く側は、自分のニーズに照らして話を聞いてくれます。
そんな製品と説明を海外に持っていくと・・・。
最初にメリットをアピールしない説明は聞いてもらえない。
仕組みや機能の説明だけでは、製品を理解しない。
つまり日本でしか通じない=ガラパゴス化していることを
お客さんの無反応さで思い知らされるのです。
どれだけズレているかの肌感覚は、やっぱり「行かな分かりまへん」。
海外に「出る」のではなく、「日本を飛び越える」感じで
日本の常識が世界の非常識だったとしても、
国内だけであれば問題はないのです。
(変えた方がいい所も多いですが・・・)
でも、日本の国内マーケットは人口比で考えると世界マーケットの約1.7%。
(かなり乱暴な計算であることは自覚しています)
国内の常識に囚われている場合ではないのです。
感覚的な表現になりますが、日本をそのまま持って出るのではなく
日本を飛び越えて世界とつながる。
そんなスタンスでの海外出展。
大きな組織ほど難しいと思いますが、
「やってみなはれ」。