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【人口中絶は違憲なのか?】 “中絶は憲法で認められた女性の権利” と定めた1973年の判断を覆す判決 を考える

ー CVスタッフのコラムー     
By アーカス・リツコ(CV メルマガ編集長)
【人口中絶は違憲なのか?】
“中絶は憲法で認められた女性の権利”と定めた1973年の判断を覆す判決を考える

アメリカ連邦最高裁が6月25日に人口妊娠中絶をめぐり、
“中絶は憲法で認められた女性の権利”
と定めた1973年の判断を覆す判決を下しました。
これは今から49年前、それまでアメリカ合衆国で違法とされていた
妊娠中絶を女性の権利として認め、
人工妊娠中絶を不当に規制する州法を違憲とする
連邦最高裁判所の判決がくだされた裁判で
「ロー対ウェイド判決」と呼ばれており、
判決以降、最もアメリカの政治論争の対象となっている判例の一つです。

この判断を受けて、今後、全米のおよそ半数の州で、
中絶が厳しく規制される見通しとなっていますが、
アメリカ国内の受け止め方は大きく分かれ、
中絶容認派と、反対派が激しく対立しています。

7月19日午後には、米連邦最高裁前で人工妊娠中絶の権利を訴える抗議デモが行われ、
議会警察は計34人を逮捕。
この中にはアレクサンドリア・オカシオコルテス、
ラシダ・タリーブ、ジャッキー・スパイアー各下院議員など、
連邦議会の議員16人も含まれています。
バイデン大統領は中絶の権利法制化を呼びかけ、
上院規則改訂を提案していますが、沈黙する男性議員が目立ちます。

アメリカ連邦最高裁の判決を受けて、
日本産婦人科学会は、7月6日、
「今後、他の州でも中絶禁止法が成立するとみられており、
経済力のある女性は州や国を越えて移動することができるが、
移動できない女性は人工妊娠中絶を受ける権利を奪われることになる。
妊娠・出産は時に母体の生命を危険にさらすものであり、
女性が出産を望まない場合、
人工妊娠中絶の禁止は女性が社会生活・健康や生命を失うことをも
強制しかねない」
と警鐘を鳴らしました。
 また、
「すべての人が望むタイミングで望む数だけ子をもつことを保証する
SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利)は、
基本的人権の一つであり、
希望するすべての女性が安全で質の高い人工妊娠中絶を受けることが
できることはSRHRの重要な一部である。
我々は女性の健康を守るプロフェッショナルとして、
世界の全ての女性が自由意思で人工妊娠中絶を選択できることが
保障されることを求め、米国における女性の人権侵害に断固反対する」
と述べました。

私もSRHRの意見に同意しています。
安易な中絶にはもちろん反対ですが、
やむを得ない理由(例えばレイプされた)などで
望まない妊娠を違憲とすることに
宗教的意義(キリスト教の保守的勢力(宗教右派)と呼ばれる人々は、
人工妊娠中絶を殺人と捉える)や政治論争が絡んでくることには
疑問を感じないわけにはいきません。
そして、社会的弱者とされる貧困層に
そのしわ寄せが及ぶことは大変不幸だと思います。

私が暮らすネバダ州や、ニューヨーク、バーモント、
ロードアイランドなど13の州は、
たとえロー対ウェイド判決が覆されても中絶の権利を保護できるよう州法を
改定していますが、しばらくこの論争は続いていくでしょう。
注意深く見守り、子どもを産む権利と産まない権利、
この基本的人権がすべての人に与えられる日が
戻ってくることを願ってやみません。

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