アニメエキスポはどこに向かうのか?
ー CVスタッフのコラムー
清水保彦(CV プランニングディレクター)
【アニメエキスポはどこに向かうのか?】
アニメエキスポが無事終わり、終了翌々日に帰国した清水です。
今回は、Festiv’AX Japanというアニメエキスポ初の日本パビリオンを
企画運営して来たわけなのですが・・・。
まず、2023年と2024年(今年)の会場マップの比較をご覧ください。
2023年では、会場が上半分と下半分に分かれ、
下側には大きめのブース、
上側にはズラっと小さな物販ブースが並んでいます。
それに対し2024年は、
真ん中に上まで大きなブースがあり、
山型に大きめのブースが寄り添うタイプに。
フロアの配置は事務局が決定するので、
この配置の違いはそのまま
アニメエキスポの変身の意思と見ることができるのです。
もともとは
大学のアニメクラブの
今や北米最大のアニメイベントであるアニメエキスポも、
元を正せばカリフォルニア大学バークレー校の
アニメクラブのイベントが発端。
今も続くその使命は、
日本のアニメと文化を通じて世界にインスピレーションを与えること。
それが、2023年のマップのように
アニメグッズ販売メインのイベントになってしまった。
これのどこがインスピレーション?
という状態になっていたんだと思います。
アニメエキスポ自身がもう一度原点に立ち戻りたかった。
そういうことではないかと感じます。
しかしお客は
物販に走る
40万人にも迫る集団が一気に会場になだれ込む。
その光景はアニメエキスポの
一つの名物ともなっているのですが、
この人たちは、今までのアニメエキスポに育てられた人たち。
アニメエキスポ=グッズ物販な人たちが多いです。
「産業」としてのアニメの重要顧客です。
さらに
エンタメホールが充実
前は「アニメ作品の1シーンのジオラマ」で
撮影して楽しむだけのブースが多く、
人も少なかったエンターテイメントホールにも、
今年は一般ブースが多く浸透。
ゲームのトーナメントや
エキジビションマッチとかで大盛り上がり。
地下のアーティストアレイも、
作家個人の物販が大人気です。
つまり、来場客が分散した結果、
今まで人が密集して歩けないほどだった
エキシビションホールの人口密度がやや低下。
見ようと思えばじっくりブースを見て回れる
展示会としては良い環境になっていました。
その中で「アニメではないもの」を
Festiv’AXが持ち込みました。
Festiv’AXのテーマは、
「日本の今を見せに行こう!」です。
今回は、その「今」として
「アニメではないもの」をいくつか持ち込みました。
これはアニメエキスポのコンセプトである
「日本のアニメと文化を通じて世界にインスピレーションを与えること」の
「文化」の部分に焦点を当てたものです。
持ち込んだ「アニメではないもの」は…
・上田バロン の金屏風、掛け軸、AIベア
・ほっぺふき子 のお面と、お米で作ったアクセサリー
・REKAO の手染め友禅和紙の千代紙と箸
・伊賀太郎の狐面
・ぐんまちゃんを擁する群馬県のプロモーション
でした。
ぐんまちゃんはクランチロールでアニメも流れていて
アニメの海外配信を先行させてそれをリードとして県の広報を図る。
上手いやり方だと思います。
その他の現地の知名度が無いものたちはただ並べているだけでは、
来場者が通り過ぎるだけです。
しかし、一度こちらから話かけて
作品の中身に触れて行くと、意外に反応が良いのです。
ハワ ユ! テイク ア ルック!! で足を止めてくれて
「本当のGOLDにデジタルプリントって信じられる?」とか
「これは日本酒のお米でできている」とか
「ハンドメイドで1個作るのに何か月もかかる」とか
「着物を染める方法で、
京都のクラフトマンが手刷りしている」とか
「日本の神と関係するキツネのお面」とか。
知名度がなくても作品が持つストーリーを話すと、
どんどん食いついてくれたのです。
(お買い上げ、ありがとう !!)
大丈夫です。アニメ以外にも
というか、アニメ以外だから
海外に誇れる日本の文化を形にできる。
たぶんアニメエキスポが向かう未来は、
「もっと文化な日本」なんじゃないかなぁ
てなことを考えたアニメエキスポ2024でした。
さぁ、ちょっとのんびりしたら、
次は1月のラスベガスだぁ!!