アメリカ最前線リポートVol.18
ー CVリポートー
By アーカス・リツコ(CV メルマガ編集長)
アメリカ最前線リポートVol.18
【アメリカ鉄道業界ストライキ回避&エリザベス女王死去続報】
アメリカの鉄道業界では、
2019年年頭からスタートした貨物鉄道会社と従業員との間の
待遇の改善を巡る交渉が難航し、
交渉期限の金曜日(16日)までに一定の合意が得られない場合は
30年ぶりとなる大型ストライキが決行され、
多くの列車が運休する可能性がありました。
しかし、20時間に及ぶ攻防の末、
両者が暫定的な合意に達したことから、
ストライキが回避されたことが
15日の早朝に発表され、バイデン大統領が会見を行いました。
「この合意はアメリカにとって大きな勝利だ」
「これは私が今まで信じて取り組んできたことが
正しかったという証だ。
組合と経営陣は利益を得るために協力することができる」と称賛しました。
この協定は現在、労使協議の標準的な手続きである
批准投票のために組合員に向けられていますが、
投票が集計されている間、
労働者はストライキを行わないことに同意しています。
交渉の最大の難点は鉄道労働者の労働条件の改善点でしたが、
特に今回の合意事項のハイライトは、
労働組合が厳密なスケジューリングの負担を軽減することを
目的とした他の措置の中でも
医療を受けるために違約金なして
休暇が取れる権利を獲得したことです。
これにより、病気やケガの診療、治療だけでなく、
定期的な検診、予防医療にも参加できることになり、
勤務ポリシーが大きく改善されることになります。
また平均時給も11ドルにアップします。
もし、ストライキが決行されれば
一日におよそ7,000本の列車が運休し、
一日当たり20億ドルの経済損失が出ると試算され、
混乱は全国の産業、旅行者、家族に
壊滅的な影響を与えると言われていたことから、
ここ数日はアメリカ中の人々が交渉の推移を固唾をのんで見守っていました。
交通や物流の混乱が物価のさらなる上昇につながれば、
バイデン政権にとっても大きな痛手となります。
バイデン大統領は、急速なインフレを悪化させる可能性のある
貨物列車のストライキを回避するために
鉄道会社と労働組合に期限前に合意に達するよう促していましたが、
その実情はというと労働党の指導者や組合員の板挟みになり、
強行策を見いだせずにいたことから、
ストライキ回避のニュースはバイデン氏を大きく安堵させたことでしょう。
加えて、ストライキの回避はバイデン政権にとっても大きな勝利でした。
民主党が議会の支配を維持するかどうかを決定する
中間選挙を控え、
蔓延するインフレによって大統領の支持率が低下し、
バイデン氏を困難な立場に追い込んでいるからです。
兎にも角にもストライキの回避によって
誰もが安心した今回の件ですが、
果たして中間選挙にどれほどの効果があるかはまだまだ不明です。
エリザベス女王逝去続報
イギリスのエリザベス女王が8日、
滞在先のスコットランド・バルモラル城で、
家族に見守られながら96才の生涯を閉じました。
国葬はロンドンのウェストミンスター寺院で
19日に行われ、
海外からはアメリカのバイデン大統領、
ドイツのシュタインマイヤー大統領、
イタリアのマッタレッラ大統領、
ブラジルのボルソナロ大統領、
さらに天皇皇后両陛下らが参列しました。
イギリスは19日の国葬が終わるまで
喪に服し、19日の午前6時半まで
一般市民による弔問を24時間態勢で
受け入れられています。
女王に最後の別れをしようという人で長蛇の列ができ、
9月14日の時点では30時間待ちということです。
アメリカでも連日、
エリザベス女王のことはトップニュースで
報道されており、
英米のゴシップはヘンリーとメイガンの動向を伝えています。
葬儀後、アメリカ帰国後、彼らが何を発言するかにも
注目が集まるでしょう。