バレンタインデーの由来と和菓子屋さんが作ったホワイトデー
ースタッフによるコラムー
ロドリガス晴海(クリエイティヴ・ヴィジョンUSA)
【バレンタインデーの由来と和菓子屋さんが作ったホワイトデー】
2月14日はチョコが主役のバレンタインデー。
そして、3月14日はお返しのホワイトデー。
これらは日本独自の製菓業界によって生まれた習慣です。
今回は、バレンタインデーの由来と、
日本発祥のホワイトデーの始まりを辿ってみました。
バレンタインデーは、イタリアで殉教したキリスト教の司祭、
聖ヴァレンティヌスを偲んで祈りを捧げる日が由来とされています。
紀元3世紀頃、世界征服を目指していたローマ帝国:
兵士たちが家族を残しては戦争に行きたがらないだろうと
懸念した皇帝クラディウス2世が結婚禁止令を発令しました。
しかし、そんな中にあってもヴァレンティヌス司祭は法律に反し、弾圧にも負けず、
若者たちの結婚式を執り行っていましたが、
男女が出合うルペカリアの祭りの前日、
ギリシャ神話の全ての神の女王の祝日ユノーの日である
2月14日に処刑されてしまったのです。
それから人々は、若者たちの愛を繋いだ
聖ヴァレンティヌスに祈りを捧げる日、
2月14日をValentine’s dayとして
愛や感謝を表す日としての習慣が生まれました。
欧米では、家族や友人、大切な人達に花束やカードを贈りあいます。
私の住んでいるアメリカでは、
男性が女性に花束やプレゼントを贈ることが通例になっています。
アメリカの小学校では、
2月になるとクラス全員のリストが配られ、
子供たちはカードにみんなの名前を書いて、
全員に配り、全員から貰うという仲間外れの無いバレンタインデーを祝います
(日本の”義理チョコも仲間外れをなくすという意図なのかもしれませんが)。
クラスのリストに加え、兄弟や家族、先生やコーチなどの名前も忘れないようにと、
バレンタインデーは大切な人に愛情を表現する日と教えられます。
写真:名前の書けるキャンディーのパック(50個入り) 靴箱などで作ったカード入れ
日本のバレンタインデーは製菓会社のキャンペーンが由来です。
1958年メリーチョコレートカンパニーは
銀座のデパートで” 女性から愛を告白する日“として
バレンタインデーのキャンペーンを行いました。
またそれより20年も前に、
神戸のモロゾフ製菓は、日本にいる外人向けの英字新聞に、
‘バレンタインデーにチョコレートを贈ろう’という広告を打っています。
日本ではなかなか浸透しにくかったバレンタインデーも
製菓会社のキャンペーンで次第に広まり、
1970年代には、
バレンタインデー=”女性からチョコレートを贈る日“として、
日本独自の文化が形成されました。
12月のクリスマス、1月の新年に、人が集まり
ギフトとしてのお菓子の売り上げ上がるのに反し、
2月にお菓子の売り上げが落ちるチョコレート業界の苦心のキャンペーンが効果を表したのが
今の日本のバレンダインデーの形です。
チョコレートが主役のバレンタインデーには、
本命チョコの他に義理チョコ、友チョコ、ご褒美チョコなどの名目で、
チョコレートの売り上げが上がります。
また2月には手作りチョコを作らなければという
使命を感じている女性も多いようです。
そして3月、日本独自のホワイトデーはどこから始まったのでしょうか?
1977年、福岡線の和菓子屋(石村萬盛堂)がバレンタインデーの返礼に
マシュマロを贈ろうというキャンペーンを打ち、
白いマシュマロにちなんで、他の菓子店と共同で、
” ホワイトデー “という名称を用いたことが、
日本のホワイトデーの始まりと言われています。
翌年の1978年には”全国飴菓子工業協同組合“の総会で、
ホワイトデーキャンペーンの実施を決定したというのですから、
チョコレート業界のバレンタインデーの成功に呼応して、
和菓子や飴菓子業界が一丸となってホワイトデーを促進させたのは、
日本独特の商業手腕に他なりません。
1980年の第一回のキャンペーンは、
” 愛に応えるホワイトデー“、第2回は、”好きな女の子にキャンディーを贈ろう!“、
1984年の第5バレンタインデーでは、
全国で品不足になるほどにホワイトデーキャンペーンは成功を遂げています。
欧米に比べ、”愛情表現“があまり得意でない日本人には、
チョコレートやホワイトデーは
愛や感謝を表現する良いきっかけになることでしょう。
ただ現実には、チョコレートや甘いものが苦手な人もいますし、
義理チョコを貰ってしまい、お返しに悩むという状況が起こり、
本当の意味の”愛の日“からかけ離れてしまうケースもあるようです。
愛情や感謝の表現方法は、チョコレートやキャンディーに限らず、
子供たちからの”お手伝いや肩たたきチケット“、
コンサートや映画に一緒に行くなど様々な手段があります。
何をすれば相手が喜ぶのかを考え、
お決まりの手段だけでなく、
自分なりの工夫で大切な人を笑顔にできたら素敵だと思いませんか?
そしてバレンタインデー、ホワイトデーに限らず、
いつでも感謝の気持ちや喜びをすなおに表現してみる:
“今日のお弁当美味しかったよ”とか、
90点のテストを持って帰ってきた子供に、
“あと少しで100点だったのに!”ではなく、
“よく頑張ったね!”と褒めてあげるなど、
まず身近な人に素直に感謝の言葉が言えるようになれば、
普段の日も”愛の日“になるのではないでしょうか?