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ホワイトハウスでの岸田首相の歓迎式典に参加して Part II ワシントンの桜

ー CVスタッフのコラムー
ロドリガス晴海(CV USA)
ホワイトハウスでの岸田首相の歓迎式典に参加して

Part II ワシントンの桜

一週空いてしまいましたが、
ホワイトハウスの歓迎式典コラムの第二弾をお届けします。
(Part 1:スニーカーで駆け抜けたホワイトハウスはこちらから)
https://www.creativevisionworld.com/topics/wp-admin/post.php?post=3517&action=edit

Part 1は長い前置きで、ここから厳かにセレモニーが始まります。
アメリカの国賓を歓迎するArrival Ceremony(到着式)は、
外国の要人や国家元首がアメリカを訪れた際に行われる公式な儀式です。
通常、この式典はアメリカ合衆国大統領や他の高位の政府関係者が出席し、
式典の形式や内容は訪問者の地位や訪問の目的に応じて少し変わります。 
このような儀式は古くには国賓が到着する空港で行われていましたが、
Truman大統領の時代に形式が整い、
ケネディー大統領の在任中から、
ホワイトハウスのSouth Lawn(南庭)で行われるようになりました。
セレモニー当日は、空港やホワイトハウス周辺の主要道路はアメリカと日本国旗で飾られ、
ホテルや近隣の建物の窓には日本を象徴する桜のディスプレイが
あちこちに見受けられました。

セレモニーが始まると、バルコニーでは琴の演奏があり、
その後、アメリカと日本の国旗を持ったユニフォーム姿の男女が行進してきます。 
この時アメリカらしいと感じたのは、彼らは同じユニフォームではなく、
アメリカにある6つのArmed Force:Air Force(空軍)、Military(陸軍)、Navy( 海軍)、 
Marine(海兵隊)、Coastal Guard(沿岸警備隊)、Space Force(宇宙軍)の
それぞれのユニフォームで順番に並んでいたことです。
各部隊のユニフォームの男女が混ざって旗を持って行進されている姿に、
”日本ではこのように違う部署が混合して行進することがあるだろうか?”
などと想像しながら、
目の前を通るオフィサーたちの違う軍隊でありながらも
息の合ったきびきびした動作に感動しました。

その後、黒塗りの車が到着し、
副大統領、日本からの随行大臣、大使などの国家の要人達が着席するとアナウンスがあり、
大統領夫妻がホワイトハウスからレッドカーペットに出てきます。 
この時ゲストは起立をしますが、
”Please stand if you are able“ ”立てる方はご起立ください“
というアナウンス

車いすや何らかの理由で起立することができない人を配慮していて
これもアメリカらしいなと感じました。
続いて、岸田首相夫妻のご登場。
His Excellencyという敬称が使われます。
これは外交的な要人、国王、大統領、首相、大使などに対して使われる敬称で、
日本語では”閣下“になります。
文字で見たことはよくありますが、
実際にアナウンスされたのを聞くと
とても”高貴“な言葉で、
国王、天皇陛下などには向いているけど、
日本の政治家にはちょっと場違いなような気持ちがしました。

その後、19発の礼砲の合図と日本国家が流れ、
続いてアメリカ国家が演奏されました。
礼砲とはアメリカ合衆国大統領の公的行事で行われ、
軍隊や軍艦が敬意表明のために
大砲を使用した軍隊における礼式の一種で、
その国を公式訪問する外国の元首、政府・軍の高官、
または陸軍部隊、艦艇を公式訪問する元首、高官などの到着の際に空砲を発射します。
昔、他国の船が外国に入港する前に、
敵意がないことを示すために大砲を空になるまで撃ち、
武装をしていないことを示したことが起源と言われています。
数字の19には象徴的な意味があり、
19が選ばれた正確な理由は明確に記録されていませんが、
軍事プロトコルやアメリカの歴史と伝統を
象徴する数字として選ばれたと信じられています。
(訪問者が国王や天皇陛下といった国家元首の場合は21礼砲となります)
次々と発砲される礼砲の音に気を取られている間に、
国賓に敬意を表して日本の国歌が先に演奏され、君が代が聞こえてきたのですが、
礼砲の後だと思っていたので正直驚きました。

​​次に、Review of Troops (閲兵式)という日本では少し耳慣れない儀式があり、
軍隊の儀仗兵が整列する中、大統領と総理が閲兵(見回る)ため、
一周されました。

大統領と首相がポディウムにあがると、
“Musical Troop in Review”という
アメリカの伝統的な衣装を纏った鼓笛隊の演奏がありました。
バイデン大統領が岸田総理の耳元でなにか話しているのが見えましたが、
“これはアメリカの伝統的な曲です”
といった解説をされたのでは?と想像していました。
耳慣れたアメリカを代表する曲、Yankee Doodleは
日本でいえば“さくらさくら”のようなものではないでしょうか?

その後、バイデン大統領の歓迎の言葉、
岸田総理の挨拶も日米の友好について強調されていました。 
日本から送られたポトマック河畔の桜が日米友好のシンボルであることに加え、
近く米国が迎える建国250周年を記念し、
250本の桜を新たに寄贈することを伝えると大きな拍手が沸き起こりました。

ワシントンの桜が日本から贈られたものというのは有名な話ですが、
現在8,000本近い桜を誇るこの名所も、
1909年、アメリカ在住の高峰譲吉博士
(タカジアスターゼ、アドレナリンなどの発見者)の提案で、
当時の東京市長であった尾崎行雄氏の協力のもと、
横浜港から出港した2,000本の桜の木は、
ワシントンに到着した時、
病害虫に侵されて検疫検査を通過できず、
全てが焼却処分になったという悲しい歴史から始まりました。
その後、荒川の桜に接ぎ木などをして健康な苗木を育て、
3年後の1912年に横浜港を出港した12種類の桜の苗木は、
東海岸ではなく西海岸のシアトルに到着し、

そこからは冷蔵貨車で大陸を横断してワシントンへ届けられました。
検疫検査を無事通過し、
全ての苗木が健康であることが確認され、
植樹が可能となったという背景を知っている人は少ないかもしれません。 

この朝の式典のスピーチは、
記者会見や首脳会談前の儀式的なものであるため、
バイデン大統領も岸田首相も桜をシンボルに友好的な言葉にとどまり、
参加していた一般や特に日系人の子供達にも
わかりやすいスピーチでした。(日米の同時通訳付き) 
ただ英語が得意とされる岸田首相は、
もう少し流ちょうな英語を披露するものと
期待をしていたのに日本語に終始し、
英語と言えば最後の
Thank you so muchだけだったのが少し残念でした。

式典は全て厳粛に整然と進行しましたが、
大使や総領事といった要人だけでなく、
駐在員家族や、先生に引率された日本人の子供達も多くみられ、
ユニフォームの軍人さん達が笑顔で、
朝は“Welcome to the White house!”と迎えてくれ、
帰りもにこやかに”Have a good day!“と呼びかけてくれ、
子供達にはハイタッチ(High 5)をしてくれたりして子供達は大喜びでした。
厳しいSecurityの中でも、
オープンで温かい雰囲気だったことが強く印象に残った歓迎式典でした。


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