TOPへ

BLOG
  1. トップページ
  2. BLOG

ー スタッフのコラムー ”説明“から”印象“へ:伝えるために情報を減らす

​ー スタッフのコラムー
ロドリガス晴海(クリエイティヴ・ヴィジョンUSA)
”説明“から”印象“へ:伝えるために情報を減らす

私は、政府機関、中小機構で海外販路開拓支援アドバイザーとして登録されています。
最近、日本企業のアメリカ展示会視察に向けて、渡米前の準備をお手伝いしました。
出展ではなく「視察」であっても、業界関係者が集まる場所で出会いを次につなげる準備が必要です。
そのため、アメリカ向けフライヤーの編集からプレゼンの準備までのアドバイスをしました。 
ここで見えてきたのが、
「説明すること」と「印象づけること」の大きな違いでした。

1. フライヤーは説明書ではない
最初の依頼はフライヤーの英文の検証、編集でした。
私がまず考えたのは、「一枚のフライヤーでどこまで説明するか?」でした。
最初に提出されたフライヤーは日本語版の機械翻訳で、情報が非常に豊富でした。
アウトドア写真に「Outdoor」、ゴルフ写真に「Golf」など、
画像で見えることにも説明が添えられていました。
”きちんと説明したい“という作り手の発想はよく理解できます。
しかし展示会では、一枚の紙をじっくり読んでもらえるとは限りません。
ここで私が提案したことは:
– 画像で伝わることは画像に任せる。
– タイトル+Key Wordでまず製品を印象づける。
– 詳細はQRコードからWEBへ。
近年、紙のフライヤーは受け取られず、QR コードをスキャンしていくケースが多くなりました。
フライヤーは”説明書“ではなく興味を持たせる”入り口“です。

2. プレゼンの主役は製品と話し手
フライヤーの整理ができたので、次にアポや商談につなげるプレゼンの準備、
具体的な商談に進む前の誘導段階です。
クライアントから提出されたスライドは、説明が中心で、画像が補足のように見えました。
開発者が製品や技術を詳しく語りたい気持ちはよくわかりますが、
聞き手にはマニュアルを読んでいるように見えてしまうこともあります。
ここでもフライヤー同様、説明と画像の役割を逆転させました。

1. 導入には Attractiveなタイトル、印象的な画像
2. 各製品のハイライトをスライド1枚にまとめる
3. 製品の特長、効果を同じ言葉で何度も繰り返さない
4. 会社説明で終わらず、コラボレーション、Next Stepへ導く締め

この段階のプレゼンは、商談資料ではなく、
”もっと話を聞きたい“ 
”次の行動を起こさせる“ための導入ツールです。

画像1オリジナル
​

画像2イメージ提案
​
*提案はあくまでもサンプルで
これが正解というものではありません。
オープニングスライドは
見る人が心を開かせる=興味を引く工夫が必要

3.  日本で問題なく伝わる言葉でも海外向けには説明が必要
日本企業から提出される資料には、 Made in Japanや日本の著名企業・大学との連携、
特許番号や日本独特の技術や伝統をそのままローマ字にしているケースがよく見られます。
”市松模様“ ”お守り“ などの日本独自の言葉、”カイクラ”と出てきたときには、
日本人の私でも何のことが解りませんでしたが、”会話クラウド“のことでした。 
随分前の話ですが、バイオ・医療系のコンサルティングをしていた時、
トクホとは特別に適用される保険ということを知らず、スマホも保険の一種だと思っていました。
日本で普通に使われているマイカー、マイブームは英語起源の日本語ですが、
あるセッションの自己紹介で、
マイブームはなんですか?と聞かれ、全く意味が解らなかったことがありました。
 
こうした例からも、日本独特の言葉が、製品を説明する大切な背景であっても、
それを初めて見たり聞いたりする海外の人達には、その価値がそのまま伝わらないのです。
特許番号のリストより、その技術で何ができるのか、
日本独特の言葉なら、それが何を意味し、製品にどんな価値を与えるのか。
自分たちが「言いたいこと」だけでなく、
相手が「知りたいこと」を考慮して表現を選ぶことが大切です。

4.  “百聞は一見に如かず“ 
展示会でも視察でも、製品を伝える強い方法は、実際に体験してもらうことです。
言葉による説明より、何が起こるのかを見せる方が一瞬で伝わります。 
持ち運べるものであれば実物やデモ機を持参し、
持っていけなければ、実際の動き、使用場面、
Before and After の効果を動画で見せると製品の性能が確実に伝わります。
以前、パッケージングの資料で、
”簡単にあけることができます“という日本語が ”Easily open“と訳されていました。 
でも実際のものを見ると、軽いタッチでパチンと開いたので、
私はこの平坦な言葉を動きのあるIt pops open!に変えました。
でもこれは実物を見て初めてできた表現でした。 

5. 違うのは”伝える順番“
私は、Communication Trainer として
日本の製品や技術を英語で表現する仕事に携わっています。 
日本の技術者・研究者が、
長年開発してきた技術を詳しく説明したい気持ちは理解しています。
そしてそれがアメリカ人には不要なのではなく、
長い経験から感じる違いは、
「何を伝えるか」以上に
「何を最初に伝えるか」です。
日本人向けには、
① 会社紹介、特許や著名企業、大学との連携を示してまず信用を得る
② 次に伝統技術や経験、プロセスを説明し、
③ 最後にこのような製品ができたという
      段階を踏んだ説明が好まれます。

アメリカ人向けには
① この製品をあなたならどう使いますか?と製品の有用性を訴え、興味をひく
② その製品の効能(どう役立てるのか)を理解させる 
③ もっと知りたい、協業(共同研究、販売)へとつなげる 

日本の製品や技術をアメリカでアピールするには、
「情報を減らす(文字を少なくする)」のではなく、
「何を最初に伝えるのかを選ぶ」。
この発想の転換が Key Point です。 
同じ製品でも、相手に合わせて伝える順番や表現を変えることが、
海外市場進出への大切な一歩だと感じています。​

Copyright © CREATIVE VISION. All Rights Reserved.