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アメリカ最前線リポートVol.32 :不思議の国アメリカAgain

ー CVリポートー
アーカス・リツコ(CV メルマガ編集長)

アメリカ最前線リポートVol.32

【不思議の国アメリカAgain】

東京都知事を7月7日に控える東京。
6月20日告示の東京都知事選に立候補を届け出た人が51人にも達したそうですが、
再選確実と思われていた
小池百合子現知事の学歴詐称問題が再燃していることもあり、
波乱の結果もあるかもしれませんね。
約1,400万人が暮らす東京は
一般会計・特別会計・公営企業会計を合わせた
都全体の予算規模は約16兆6,300億円(スウェーデンの国家予算に相当)。
つまり、首都東京の浮沈は都内の市区町村のみならず、
国政にも大きな影響を及ぼすため、
都政の総合性、一体性を維持する権限と責任を持つ
東京都知事の任務は大変重要なため、
それに相応しい人が選ばれなければなりません。

大統領と都知事になる条件とは?

アメリカでは11月に大統領選挙を控え、
候補者である民主党のバイデン現大統領、共和党のトランプ前大統領の
ネガティブキャンペーンがヒートアップしています。
6月27日には第一回討論会が開かれますが、
政策うんぬんの前にお互いを罵倒しあうだけで
終わらないかという危惧がささやかています。

ご存知の通り、トランプ氏は5月30日、
「不倫口止め料」の支払いをめぐって
業務記録に虚偽記載をしたとして罪に問われた裁判で、
34件の罪状すべてについて有罪となりました。
アメリカの大統領経験者が刑事裁判で有罪とされたのは初めてのことです。
量刑は7月11日に裁判長が言い渡すことになっていますが、
一般人なら禁固何十年という重罪ながらもおそらく罰金刑に留まり、
刑務所行きはないだろうというのが多数の法律の専門家の意見です。

学歴詐称疑惑の小池百合子氏と、
重罪を犯し、有罪判決が出たトランプ氏ですが、
どちらも候補者として適任なのか?という問題はさておき
候補者となる条件が日本とアメリカでは大きく異なります。
東京都知事に立候補する条件は、
日本国民であり、選挙に立候補する権利(被選挙権)があること。
満30歳以上であること。
これ以外に、被選挙権を失う条件(消極的要件)があり、
禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者など
公職選挙法や政治資金規正法、電磁記録投票法などに
抵触するものは立候補ができません。
学歴詐称は、軽犯罪法第1条15号に違反する犯罪で、
大学の学位記などを偽造した場合は、
刑法第159条の「私文書偽造罪」が適用されますが、
実際は刑事事件よりも民事事件で罰せられることが多いようです。

しかしながら、日本人の国民感情として、
犯罪者をリーダーにするなんてもってのほかという
不文律があるので、
小池氏が都知事選までは持ちこたえたとしても
今後の展開によっては、
何かしらの罰則が科せられる可能性がありますし、
現在の社会的地位も危ういことになるかもしれません。

しかし、アメリカは違います。
アメリカ合衆国では大統領になる条件として、
「出生による合衆国市民あるいはこの憲法確定時に合衆国市民でなければ、
大統領となることはできない。35歳に達しない者、
また14年以上合衆国の住民でない者は、大統領となることはできない」と
アメリカ合衆国憲法第2章第1条で定められています。
これだけです。
つまり、アメリカ生まれで14年以上アメリカに居住し、
35歳以上であれば、
なにびとも大統領になることができるわけです。
ですから、トランプ氏はたとえ投獄されても、選挙活動を続けることができ、
当選すれば、大統領になれるのです。
日本人の国民感情からすると、犯罪者が政治家?大統領?
とんでもない、ということになりますが、
リアルクリアポリティクスの全米を対象とする
各種世論調査の平均値(6月13日時点)では、
トランプ氏の支持率が45.4%と、
バイデン氏(44.6%)を
わずかにリードする結果になっており、
支持者にとっては、
有罪判決はマイナス材料にはなっていないようです。
「不思議の国アメリカ」健在です。

都知事選、大統領選、どちらも混迷を極めていますが、
どんな結果が待っているのか見守りたいと思います。
続きは次回のリポートでお知らせします。

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