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可能性と即戦力

ー CVスタッフのコラム
      By ロドリガス 晴海(CV USA)

【可能性と即戦力】

【日米は雇用の概念が異なる】
8月末に、日本企業の経営、人事担当者向けのセミナーで登壇の依頼を頂き、
日本とアメリカの雇用と研修の違いについて考える機会がありました。
アメリカでの仕事の学び方を振り返ると、まず、 “雇用“の観念が
日本とは根本的に大きく異なっていることに気づきます。
日本では、”就活“という言葉があり、
街ではリクルートスーツを着た学生たちが
面接や会社訪問に出向く姿をよく見かけます。 
そして4月は”入社式“。
採用の決まった新人達は、”研修期間“を経て、
辞令により配属先が決まるというケースが一般的でしょう。 
その後、1年後研修や4年後研修、そして中間・管理職研修など、
組織により研修コースが整備されています。 
また政府や公共の機関、銀行などでは
人事異動という組織が配属場所を変えるという仕組みがあります。 
私の経験でも長くご一緒に仕事をしている企業様でも、
担当者さんが変わると仕事の仕方や対応の仕方が大きく変わります。

【アメリカでは会社に就職するというより、
その会社のポジションの仕事を得るというのが、
基本的な考え】

9月は、アメリカの学校制度の新学年の始まりですが、
アメリカには一斉の入社式というものがありません。
ちなみに、日本のような” 入学式“もありません。
卒業式は大々的に行われますが、
受験から入学という”入り口“を重視する日本とは反対に
アメリカは出口である”卒業式“を重要視しているのも面白い対比です。
入社式が無いのは、企業や組織による”一斉の採用が無く、
必要なポジションを随時埋めるというアメリカでは、
新人や、同期という意識が殆どありません。 
そのポジションに新しく入った人は、
既に経験やスキルをもったベテランで、
新人ではなく“新規採用”で
即戦力として力を発揮することを期待されます。 
日本の多くの企業は、
”可能性“をもった新卒を研修により育成して、
組織の必要とする場所に配属します。 
アメリカには”中途採用“という言葉も存在しません。 
殆どの人材はそのポジションが必要とされる時、
その経験や資格を持った人が随時採用されるからです。 
またアメリカで求められる資格=Qualificationとは、
xxx検定xx級、 xxx鑑定士、などというものではなく、
ポジションには必ず、Job Descriptionというものがあり、
そこで必要とされるスキルのことです。
また日本での就活は、
どの企業を目指すか=どの会社に入社したいかを考えますが、
アメリカ人は職を探す時、どんな仕事をしたいかを先に考えます。
私が日系企業で仕事をしていた時は、
よく“xx社の晴海さん“として見られ、
それが晴海でなくてもひろ子でも良子でも”
xx社の人”という見方をされました。 
一人一人ではなく、どこの組織に属するかという”メンバー“という見方です。
アメリカでは、個人と個人の信頼を重要視するので、
担当者レベルが責任をもち、判断も任せられることが多いですが、
日本はどんなに優秀な担当者と取引をしても、
判断は稟議というスタンプラリーが必要で、
何かを決めるには沢山のハンコが押され、
やっと最終決議になることが殆どでしょう。 

【Generalistと Specialistの違い】
日本の組織は人材を異動させGeneralistを養成します。
地方の工場で技術を学び、都市の営業所に移動になるなど、
”転勤“という言葉も頻繁に聞かれますが、
アメリカでは、自分から組織内の
他のポジションに応募するプロモーションはあっても、
組織がスタッフを”配置換え“することはあまり見られません。
それは採用の時点で、
そのポジションに必要な経験やスキルを持った人が、
そこで即戦力として機能する為に採用されるからです。 
アメリカの職場では、大学や大学院に通う事や、
仕事をしながら自分のスキルアップをすることが
寛容に認められているので、
ある技術を学ぶための講習会に参加したり、技術者が
カスタマーサービスのセミナーを受けに行ったりと、
組織が提供してくれる一斉の”研修“ではなく、
自分が必要とするスキルを伸ばすための
チャンスが豊富に与えられています。 
このように経験と実力を重視するアメリカでは、
大学を優秀な成績で卒業しても経験が少ない為、
希望の職種につけないという状況も起こります。 

【自分の道は自分で切り開くもの】
アメリカでは中学、高校生は
一定時間の地域やコミュティーでの奉仕の時間が
卒業する為の必須項目に加わっていますし、
多くの大学生は、インターンやアルバイトをしたり、
本職を持っている大学生も多く社会経験が豊富です。
企業は学歴や成績よりも経験や人間関係のスキルを重要視し、
ポジションに応募する時は最低3人のReferenceが必要です。
このリファレンスで採用が決まると言っても過言ではありません。
どんな仕事でも、誠実に努力をしていれば、
必ず新しい道が開ける、
そしてその道は自分の足で切り開いて行くもの、
そんな観念がアメリカ人のチャレンジと
向上心の基本になっているように思います。

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