外から見た日本の風景 ~ 外国生活で気づく「驚き」と「違和感」~
ー CVスタッフのコラムー
ロドリガス晴海(CV USA)
【外から見た日本の風景~ 外国生活で気づく「驚き」と「違和感」~】
今回のコラムは、40年以上海外生活をしている
日本人(私)の視点から見た「日本の当たり前」を紹介したいと思います。
私が久しぶりに日本に帰国して感じた驚きや違和感を通じて、
日本文化の奥深さや外国人には難しく映る一面についてまとめてみました。
日本人には当然とされることも、外から見たら少し不思議に感じることもあります。
1. 成田空港にて:電車の切符の購入
成田に到着し、横浜行きの成田エクスプレスの切符を購入しようと
列に並びました。
コロナ後、再び外国人観光客が増えている成田空港ですが、
初めての訪日者にとって切符の購入は大きなチャレンジです。
特に、アメリカのような車社会で生活する人々にとっては、
乗車券、特急券、座席指定券などの区別が非常に難しいため、
切符を買う列はなかなか進みません。
結局、私は予定していた成田エクスプレスに乗りそびれてしまいました。
以前はJRの案内係の人の姿をよく見かけましたが、
私が利用した成田第2ターミナル駅では係員を見つけることができませんでした。
自動化やデジタル化が進んでいても、
最初に日本の玄関として外国人を迎える成田空港駅には、
外国人の不安を取り除くような案内係の存在が不可欠だと思います。
このような表示だと”既に予約している切符“と思ってしまうので、
指定席を買いたくてもNon-Reserved Seatを押してしまう人も多いのではないでしょうか。
2. ありがたいけど少し余計なアナウンス
日本にいると、多くのアナウンスが流れることに気づきます。
成田空港駅で切符を買った後の
「切符をお取りください」というアナウンスは慣れていないと少し驚きです。
丁寧でありがたいのですが、少し過剰に感じることもあります。
その他にもエレベーターの「ドアが閉まります」、
トラックの「バックします」といったアナウンスも
日本では日常的に聞く音かもしれませんが、
久しぶりの日本で聞くと少し過剰に感じることもありました。
しかし、日本とは真逆でドイツの鉄道は「改札口」がなく、
電車発車のアナウンスもほとんどありませんでした。
そのために同行者とはぐれ、
私と荷物だけが違う方向に向かってしまったという
今では笑い話のとんでもない失敗談もあります。
各国で違いはありますが、
日本のような丁寧なアナウンスは
はじめは少し耳障りなこともありますがありがたいですし、安心感を覚えます。
3. 正確で美しい日本の電車文化
電車がドアのマークにぴったり止まる日本の制御システムは見事で、
整然と並ぶ日本人のマナーにも感動しました。
しかし、京急品川駅のように「赤の快特12両」や「緑の急行羽田空港方面」のように
カラフルなラインと矢印が表示されるホームは、
初めて利用する人にとって戸惑うところもあります。
電光掲示板には先発特急xx行き、
次発各駅停車xx行きなどが表示され、
待ち合わせや乗り継ぎも表示されるので見逃さないよう注意しなければなりません。
…とはいえ、日本が誇る電車文化。安全性、正確さ、清潔さに感銘を受け、
また、日本人が整然と並び、バックパックを前に抱えている
”フロントパック!“を見て周りに対しての気遣いが素晴らしいと思いました。
本当に日本の電車システムはすばらしいのですが、
外国人にとって地下鉄は網の目のように複雑でややこしくてわかりにくいです。
緑の中央線とか、赤の丸の内線と、
色に沿って正しい方向に向かって行かないと
とんでもない所に行きついてしまいます。
以前 阪急電車沿線から‘大阪’で待ち合わせをした時、
‘大阪行き’の電車が来ず、
表示は‘梅田行’だったので、乗り場を間違えたと思って
反対のホームに移動したのですが、それは神戸方面行きでした。
結局元のホームに戻り、駅員さんに伺い、
‘梅田’は大阪のことと初めて知りました!
(現在、梅田駅は大阪梅田駅に名称が変わったそうです!有難うございます!)
また、東京メトロの虎ノ門ヒルズ駅でA2出口に出るように指示され、
普通の地下鉄の駅にある黄色い出口の看板を探しても見当たらなかったので、
てっきり虎ノ門ヒルズのビルの中に迷い込んだと思っていたら、
さらにエスカレーターを2回乗り継がないと出口にたどり着けないと言われて、
やっと出口に出られたことなど、日本の駅で戸惑ったエピソードは数知れません。
以前、アメリカで日本語を教えていたとき、
日本の電車は4時3分(さんぷん)発といった「分刻みの正確さ」を強調したエピソードを
伝えたことがあります。
そして、初めての出張で日本を訪れたアメリカ人スタッフからも
「言われた通りだった!」と、驚きの報告を受けたことがあります。
日本人の几帳面さ、時間に対する正確さは、電車文化に育まれたものだと実感します。
狭い国土に多くの人が住む日本:
日本の本州はアメリカのカリフォルニア州にすっぽり収まるサイズ。
その狭い国土の中で、
アメリカの全人口の約半分が生活をしているのですから、
色々とルールがあり、
それぞれが大切な役割を果たしていることは間違いありませんが、
外の文化に触れると、
日本の常識が必ずしも
そのままで通用しない場面もあることに気づきます。
「郷に入っては郷に従え」という言葉もありますが、
外国人から見た日本には
「驚き」や「違和感」があふれているのだろうなと実感した日本滞在でした。