展示会に「技術説明」は要るか
ー スタッフのコラムー
清水保彦(クリエイティヴ・ヴィジョン、プランニングディレクター)
【展示会に「技術説明」は要るか】
時々聞かれることがあります。
「技術説明の時間はとれますか?」とか
「技術説明を分かりやすくするには?」って。
冷たい言い方かもしれませんが、
先に答えてしまいます。
「技術説明の時間はなくても大丈夫です」
「細かく説明するほど分かりにくくなります」と。
展示会の来場者は、
技術を見に来てはいません
今回は、そんな「説明をしっかりしたい!」という
開発側の想いがいかに伝わりにくいか、
なんなら伝えようとしない方が分かりやすいというお話です。
例年1月のCESを例にとると来場者は「製品」を見に来ています。
それがどうできているのかではなく、
それが世の中をどう変えるかを見に来ています。
またCESの場合、広い会場に4,500を超えるブースが出展しています。
会期は4日間。
来場者はなるべく多くのブースを見ようと
文字通り駆け足で会場を巡ります。
細かな説明を聞いていてはとっても回り切れません。
そんな“忙しい”来場者の足をどう止めるか?
来場者との第一種接近遭遇をどうやって実現するか? です。
第一種接近遭遇の猛者である
メイドカフェのお嬢たちの第一声を参考にすると・・・
「あ。そのシャツかっこいい !どこで売ってます?」
「あ。佐藤さん!違ったごめんなさい。でも佐藤さんにそっくりなんですよ!」
みたいな。
そんな所から始めるコミュニケーションでも、
難しい技術説明で拒否られるよりずっとマシだと思います。
僕には二人の子供がいます。
という始め方
前に印象に残ったピッチがあります。
出だしが、「僕には二人の子供がいます」。
テック系のピッチコンテストですよ。
ピッチの連続に退屈して寝かけていた観客も
ん? って感じで顔を上げました。
この子供たちが、野菜を食べない。
でも夏休みに田舎に行ったら、
おやつで出た冷やしたトマトをバクバク。
トマトはいけるんだと思って
帰ってから家でトマトを出したら
どうにも食いつかない ^^
「都会の野菜がおかしくなってる!」
「このままでは未来の子供たちの食が危ない!」
「だから、今回のアグリテック製品を作りました!」
と話がつながって行くのです。
ま。その後に、どんな技術が使われているか
簡単に説明はあったのですが、
「未来の子供たちを救う製品」という
強烈な印象付けは成功していました。
当然、コンテスト結果は優勝です。
メタバースだって
建築家の作品になる
この写真。
ある展示会の一級建築士さんのブースです。
建築士さんが何を出すんだろう?
という興味で見に行ったのですが、
見事にメタバースネタで出展です。
実は、半分は
メタバースの技術系企業の出展。
最新技術でメタバースの空間を作ったり
UIを工夫したりはできるけど、
空間そのもののデザインができない。
だから、建築士さんに頼んだ。
という図式だったそうで。
当然のように、その空間で何ができるか。
係の人と話せる? とか、
横のお客さん同士でコミュニケーション取れる? とか。
どんな技術で作られているかより
そこで何ができるかに質問が集中。
技術系の質問には、技術の方が
iPadで資料出して話しておられました。
言いたいことではなく
聞きたいことを第一にする
興味を持ってくれた人は、
むこうから質問してくるようになるんです。
だから、まず相手の興味を引き出す。
展示会での第一種接近遭遇をどうモノにするか?
あ。アメリカで一番いいのは、
「これ、どう思いますか?」かな。
説明は聞きたがらないけど、
とにかく自分の意見は言いたいアメリカの方に
ピッタリの声掛けだと思います。
説明したいことと、相手をつかまえることの両立。
実際に展示会に出展して
失敗を重ねないと、なかなか分からないかもしれません。
失敗をより有効に重ねたいのなら
ぜひ弊社にご相談ください。