展示会リポート:JCW2024
ー CVリポートー
アーカス・リツコ(CV メルマガ編集長)
【展示会リポート:JCW2024】
5月31日~6月3日まで、
ラスベガスのVenetian Expoで開催されたJCK2024に行ってきました。
JCKは、2022年に30周年を迎えたばかりの世界最大級の宝飾業界のB to Bの展示会で、
宝飾業界のすべての主要セグメントに対応しています。
今年は130か国からゲストが参加し、
出展社は1,800社以上、参加者も17,000人を超え、
展示会場以外でも
パーティーや講演、セミナーなども多数行われ、どこも盛況でした。
フロアは大きく分けて、
BallroomのエリアがLuxury、つまり大変高価なジュエリーのセクション、
Level2がブライダルや常連出展社のセクション、
Level 1が新規出展社、カジュアルジュエリー、周辺機器、宝石関連ビジネスなどですが、
フロアによってブースの施工デザインや装飾、警備員の数がまったく違い、
来場者の服装や雰囲気もまったく違うのが大変興味深かったです。
Luxuaryが銀座だとすると、Level2が渋谷、
Level1が御徒町というとわかりやすいでしょうか。
Luxuryフロアには重厚なケースの中に
何億円というダイヤなどの宝飾品が多数あり、
目を奪われました。
しかし、近年の宝飾業界は若者の宝飾離れ、カジュアル志向が深刻で、
高級ジュエリーの購買層も中高年の富裕層が大半を占めているそうです。
また若い富裕層はデザインを見て一目でわかるカルティエなどの
特定の有名ブランドを好むため、
高級宝飾店ほど苦戦を強いられるそうです。
そんな中、成長しているのが
LAB Grow Diamond(以下ラボダイヤ)です。
ラボダイヤは、採掘された天然ダイヤモンドと同じ条件で作られ、
天然ダイヤモンドと完全に同じ構造を持つ人工宝石です。
天然ダイヤモンドが形成されるまでには、
10億年以上の圧力と高温が必要な一方、
ラボダイヤは天然と同じ地球深部の環境条件を再現するための
最新技術を持つ研究室(Laboratory)で造られるダイヤモンド。
天然ダイヤモンドと完全に同一の構造を持つため、
プロの鑑定士であっても識別が不可能で、
専用の機械の助けを借りて初めて、
天然ダイヤモンドとの違いを特定するという優れものです。
また、ダイヤモンドを採掘することによる環境破壊、
水域汚染、土壌の荒廃といった環境への影響がないことから、
環境と人類にやさしい次世代につなぐ
持続可能な財産としても注目されています。
天然ダイヤに比べ、30~40%以上も安価であることも魅力です。
私も会場で目を凝らして見ましたが、
素人の私に天然とラボダイヤの区別がつくわけがありません。
鑑定士でさえ見分けができないものなので、
日常使いとしては十分な気もしました。
キュービックジルコニアが出現した時には、
完全に別物としてすみ分けができたために
天然ダイヤの価値にはまったく変化がありませんでしたが、
ラボダイヤの台頭には脅威を感じる部分もあるようです。
現段階では、世界的に宝飾業界からの反発も強く、
天然ダイヤがまだまだ幅をきかせているので
ラボダイヤの市場はまだ小さいですが、
何十年か後には価値が逆転し、
市場の拡大とともに価格がさらに下がれば、
「(天然)ダイヤモンドは永遠の輝き」という概念も
変わってくるのかもしれません。
LEVEL1にはJapanのエリアもありましたが、
かなり端の目立たない立地にあったこと、
大手の企業の出展がなかったことが残念でした。
ただ、18金のジュエリーをメインにしている
日本の卸会社は健闘していました。
また、LEVEL1では、
宝石に欠かせないデザイン、撮影、研磨、仕上げ、加工について、
様々な新しいテクノロジーが紹介されていたのですが、
この分野こそ日本の企業がもっと出展してもよいと感じました。
ただお話を聞くと、
あらゆる工程で機械化が進んでいるが、
最後の5%は調整、仕上げに関しては、
職人の腕に頼るしかないということで、その部分は少し安心しました。
とにかくキラキラのジュエリーに囲まれ、
目の保養をしっかりして豊かな気分に浸れた展示会でした。