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【アメリカ最前線リポートVol.19】 インフレの進むアメリカ(3)

ー CVリポートー     
By アーカス・リツコ(CV メルマガ編集長)

【アメリカ最前線リポートVol.19】インフレの進むアメリカ(3)
~卵の価格高騰による連鎖~

アメリカでは、昨年12月以降、消費者物価指数 (CPI) が7%以上となっており、
40年ぶりとなる歴史的にインフレが進んでいます。
今年の8月に発表された物価指数は、昨年8月から今年8月までの一年間の数字で、
市場の予想 8.1% を上回る 8.3%となりました。
その後、9月の上昇率は0%で、エネルギー関連の価格も低く推移し、
ガソリン価格もいったんは1ドル近く下がったことから、
CPIもマイナスに転じるのではないかと予想されましたが、
10月以降は、全般的に値上げが続いており、家計を圧迫しています。
その中で最も値段が上がっているのが卵です。
日本では「卵は物価の優等生」という言葉があったように
卵はあまり物価に左右されない食品の一つでしたが、
アメリカではこの一年で4割以上の値上がりです。
米国労働統計局 (BLS) の資料によると、
卵の価格は昨年 8 月に比べて 82% 上昇し、
今年の7 月に入るとさらに 6.1% 上昇しました。
食品全体の価格が上昇しているのは、私もスーパーに行くたびに感じるのですが、
卵の価格の急騰には驚きを超してショックさえ感じます。
卵の価格高騰の一因は、今年初めに発生した感染力の高い鳥インフルエンザで、
米国の農家は何百万もの産卵鶏を殺傷処分することを余儀なくされ、
国の卵の供給が減少したことと言われています。
この卵の価格の上昇により、卵を使った商品、例えばベイカリー関連、
マヨネーズなどは顕著に価格が上昇し、
卵を扱うレストランも価格を上げざるを得ない状況です。
朝食を出すレストランは個人経営のレストランも多いことから、
スモールビジネスのレストラン・オーナー、
客双方から悲鳴は止まりません。

卵と同様に、バターの価格も高騰しています。
昨年と比べると 3割近く上昇していますから、
卵とバターを扱う品種は必然的に値上がりするのです。
家で気軽にクッキーを焼くのに躊躇してしまう家庭が出てきてもおかしくありません。
その他、肉、鶏肉、魚、卵の価格指数は昨年より13.7%上昇し、
牛肉の指数は16%上昇しました。
他の主要な食料品店の食品グループ指数も過去 1 年間で上昇し、
シリアルとベーカリー製品は15%の上昇しました。

アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は
9月21日に会合を開き、
記録的なインフレの抑制のために0.75%の大幅な利上げを決めました。
これは今年に入り3回連続です。
政策金利は3%から3.25%の幅となり、
これは2008年1月以来、およそ14年半ぶりに3%を超え、
2023年以降は今年よりさらに高い4.6%まで
値上げされる可能性があると予想されています。
この急速な利上げなど金融の引き締めが
住宅市場や個人消費などに影響を与え始めていることから、
今後は景気後退、失業率の上昇も懸念されています。

FRBのパウエル議長は、物価上昇を抑えるための金利政策を
「インフレを抑え込んだ(任務完了)」と確信するまでは
続ける必要があると述べ、
インフレに苦しんでいる人たちに寄り添っている姿勢を強調しましたが、
我々一般庶民はまだまだ効果を実感できない状況が続いています。

アメリカでは11月8日に中間選挙が行われます。
中間選挙は、現職の大統領に対する評価の場であるとも言われており、
この止まらないインフレが選挙の結果にどう影響するのかが注目されます。

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