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アメリカの展示会でわかったこと

― CV スタッフのコラム ― 
       
By 清水保彦

【アメリカの展示会でわかったこと】

   ~ブースの作り方

【最初に電気の配線が走る! ということは・・・】

アメリカの展示会に出展経験のある方も
いらっしゃるかと思いますが、
さすがに設営の最初から立ち会われた経験を
お持ちの方は少ないかと思います。

だだっ広い会場の担当ブースの位置に行くとまず見える景色が、
この写真。

 

 

 

 

 

 

 

 

何もないところに、最初に電気の配線が走る。
アメリカの現場は、施工の順番からして日本とまったく違うのです。

この後、配線はふかふかしたカーペットに覆われ、
コンセントをつなぐ所だけ穴が開けられて引き出されます。

ということは・・・
「この展示台。やっぱりこっちに移してください」
といった“現場での変更”ができないことを意味しています。

あ。できないことはないんです。
カーペットはがして(もしくは切って)、
配線引き直して、カーペット敷きなおせばいいんですから。
カーペットと電気の職人さん呼び戻して、
それぞれバカ高い追加作業料払えばいいんですから。

呼び戻す職人さんたちはすでに別のブースで作業していて、
全部終わってからしか来てくれませんが。
それまで、上に建つブース施工はストップせざるをえませんが。
下手したら、開場までにブースが出来上がらないかもしれませんが。

アメリカの現場。
現場での変更にはそれなりの覚悟が必要なのです。

【ブースは現場で作るんじゃない。工場で作ってるんだ!】

日本の展示施工の仕上げ段階で
かならず見る光景が、この写真。

「表具」という工程です。
職人さんの手にかかればアッという間に貼りあがり、
シワ一つないキレイな壁ができあがります。
でも、これ。日本だけにある職人技みたいなのです。

アメリカの「壁」の作り方が、こちら。

運んでくる。
降ろす。
部材に付けられている金具をパチパチはめて、
はいでき上がり。
日本の表具にあたるものはグラフィックと呼ばれ、
工場で壁の部材に印刷されて現場に運ばれて来るのです。

現場での変更?
書いてある綴りが間違ってた?
写真を変えたい?

いいでしょう。
やりますよ。
正しい原稿ください。
変えたい写真を、最低でも実寸で画素数が110dpiあるデータでください。
今から工場でカッティングシートにプリントして、
それが届く時間(たぶん夜)に職人手配して上から貼ります。
職人の追加料金も恐ろしいものになると思いますが、
表具という概念自体が存在しないアメリカの現場。
修正の面積が大きなものだったりしたら、
想像するのも怖い仕上がりになると思いますが。

アメリカの現場。
立ち上がってからの修正も、やっぱりやめておいた方がいいと思います。

【ってことは、日本での制作スケジュールもすべて前倒し】

ブースの中に何を置くか、どこに配置するか。
これは、必要な電気配線とともに平面図に。
ブースの壁面を何色にするか、グラフィックをどう載せるか。
これは、必要な写真素材などを添えて
立面図として工場に渡されます。

さあ。逆算してみましょう。
アメリカの場合、
現場に部材を届けるには、その前に指定の倉庫に
指定の期日での搬入が必要です。
(直接会場に送ることはできません)
だいたい会期の2週間前くらいが最終締切です。

CESの場合やっかいなのが、1月頭が会期だということ。
アメリカには、長いクリスマス休暇があるのです。
12月の後半は、ほとんど作業できない。
さらに、
11月にはサンクスギビングデイがあったりします。

で、CESの場合の平面図・立面図の入稿締切は「10月」。
たいていの施工会社は10月1日を指定してきます。
1月の展示会のために、10月頭には“修正の必要がない”
完成原稿を渡す必要があるわけです。

出展製品を決める。
予算を決める。
必要なブースの広さを確保する。
必要な原稿や素材を揃えて制作会社に渡す。
制作会社の制作案を検討して決定する。
制作会社は必要な図面を作る。
すべての図面関係を承認する。
これらすべての作業を勘案すると・・・

7月には社内の企画をスタートさせないと、
キツイんじゃないでしょうか?

ブースの作り方が違う、アメリカと日本。
その違いが制作スケジュールにも影響するんだというお話でした。

【オールデジタル化したCES2021に備えましょう!】

残念ながら、CES2021はオールデジタルでの開催が決定しています。
ブースを作る必要のないCESなんて初めての経験ですが、
その上で言わせていただければ、
デジタル上の出展者スペースというのは、
「かなりのページ数のあるホームページのかなり奥まった場所」
と想像しておく必要があるということです。
CES2021は「1,200」の出展枠があるので、
それだけのページがあるホームページが出現するわけです。
はっきり言って
「1/1,200」の存在。
どうすれば、そこにたどりついてもらえるか?
そして、せっかくたどりついてくれた来場者に、
どう印象付けるか?
ひょっとしたら、
それはデジタル上だけでは限界があるのかもしれませんが、
CES2021は来年の1月に迫っています。

できることを、一緒に考えさせていただければ幸いです。

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