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アメリカ最前線リポートVol.13

ー CVリポートー     
      By アーカスリツコ(CV メルマガ編集長)

【アメリカ最前線リポートVol.13】
 バイデン大統領の失言の波紋
 アカデミー賞「ビンタ事件」

バイデン大統領“失言”の波紋
「この男(プーチン大統領)が権力の座に留まってはいけない」
これは、バイデン大統領が3月26日、訪問先のポーランドで口にした言葉です。
先日の「虐殺者」呼ばわりに続き、プーチン氏の怒りを買うに違いない
バイデン氏のこの発言は、事前に用意された原稿にはなかったと
複数のメディアが報じていることからふいに出た「失言」(本心)と思われますが、
影響力の大きなアメリカ大統領の失言とあって、
アメリカ国内に留まらず、世界中にその波紋が広がっています。
 
翌日、バイデン大統領は、ワシントン市内で発言の意図を求められると
「失言だった」と認め、
記者団から「プーチンの排除を望んでるのか?」
と質問されると「違う」と答えましたが、
ブリンケン国務長官は
「政権交代はロシアの人々が決めること。大統領が言いたかったのは、
他国に武力侵攻したりする権限をプーチン氏に与えてはいけないということだ」
と釈明するなど、アメリカ政府は対応に躍起になっています。

また、この「失言」を受けて、
ここぞとばかりに共和党はバイデン氏を非難し、
上院外交委員会のリッシュ委員(共和党)は
「これは恐ろしい失言で、アメリカの今までの努力が無駄になる」、
元米中央情報局(CIA)長官のデービッド・ペトレイアス氏も
「この失言は今後、いくつかの問題を引き起こし、バイデン政権を困難なものにするだろう」
とコメントしています。
 
失言からの大騒動…続いては、
アカデミー賞「ビンタ事件」

3月27日、カリフォルニア州ロサンゼルス市ハリウッドのドルビー・シアターで行われた
第94回アカデミー賞の授賞式。
映画界のセレブら2500人が招待され、米国内でABCテレビ中継を見た人は1540万人。
全世界が見守る中、その事件は起こりました。

開始から約2時間後、長編ドキュメンタリー映画賞のプレゼンターとして登壇した
辛口ジョークを得意とするコメディアンのクリス・ロックが、
ウィル・スミスの妻であるジェイダ・ピンケット・スミスの短髪を
侮辱するような発言
「ジェイダ、好きだよ、『G.I.ジェーン』の続編を早く見たいもんだ」
をしたことで、夫のウィル・スミスが激高。
(ジェイダさんが脱毛症に苦しんでいることを公表している)
壇上に上がり、ロックに思いっきりビンタしたのです。
その後もスミスは放送禁止用語を交えて、ロックの発言を批判し、
アメリカ国内では放映が一時中断。
テレビを生で観ていた私がしばし呆然としている間に、
SNS、Twitterでその様子は瞬く間に世界中に拡散され、
ネット上で
「どっちが悪いか?」の大論争に発展しました。

事件後すぐは、ウィル・スミスを擁護する雰囲気もあったものの、
「暴力はどんな形であれ、有害で破壊的だ」
という論調が強まったこと、
主演男優賞を受賞したウィル・スミスが、スピーチでクリス・ロックに対して
謝罪しなかったことから、
時間が経つにつれ、形勢は一気にウィル・スミスにとって不利な状況になりました。
ウィル・スミスは3月28日にInstagramを投稿し、
「クリス、あなたに公に謝罪したい。私は不適切で間違っていた。自分を恥じている。
私の行動は自分が目指している男のものではなかった。
愛と優しさに満ちた世界に暴力の存在する場所はない」
と述べ、
クリス・ロックを始め、映画芸術科学アカデミー関係者や視聴者、
主演男優賞を受賞した『ドリームプラン』のモデルでもある
テニス選手のウィリアムズ姉妹(ビーナスとセリーナ)の父親に対しても謝罪しました。

その後、報道合戦は過熱。
ウィル・スミスは過去に脱毛症の男性をからかったことがある。
ジェイダは脱毛症でからかわれることを気にしていないと発言している、
クリスとウィルは昔から確執があった…など。

クリス・ロックは警察に被害届を出さないとアメリカのメディアに対して明らかにしていますが、
主催団体は28日、ウィル・スミスの行動を非難すると同時に
調査を開始し、カリフォルニア州法などに準じた対応を行う声明を発表し、
30日には、ビンタ事件後、(ウィル・スミスに)退席するよう求めたものの
拒否されたと明らかにしました。
今後、本人から書面で意見を聞いたうえで、早ければ4月18日にも処分が決定される予定で、
ウィル・スミスはアカデミー会員の資格停止や受賞した主演男優賞剥奪の可能性もあるようです。

日本映画『ドライブ・マイ・カー』がせっかく国際長編映画賞を受賞したというのに、
素晴らしい作品や関係者が晴れやかな気持ちで授賞式を終えるはずだったのに、
授賞式後の報道はウィル・スミスビンタ事件ばかり。
これは、94回の歴史と権威を誇るアカデミー賞に大きな汚点を残してしまったと言えるでしょう。

『G.I.ジェーン』(1997年)は、丸刈りにしたデミ・ムーアが
米海軍特殊部隊に挑む女性将校オニール大尉を演じた戦争映画。
 

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