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アメリカ最前線リポートVol.4

ー CV Report ー 
   by アーカス リツコ(メルマガ編集長)

【アメリカ最前線リポートVol.4】

アメリカのコロナウィルス・ワクチン接種状況

ジョー・バイデン米大統領は、3月25日、
就任後初の本格的な記者会見に臨み、
アメリカ・メキシコ国境へ押し寄せる移民の急増や、
対中関係などとともに、
新型コロナウイルスワクチンの接種状況について
記者からの質問に答えました。
その記者会見の冒頭で、
「新型コロナウイルスのワクチン接種については、
就任前の公約を倍増させる。
就任100日以内に、当初目標とした1億回ではなく、
2億回の接種を実施する」
と表明しました。
加えて、
「このプランは野心的だが可能なことだ。
世界のどの国も(アメリカの接種率には)到底及ばないだろう。
これに近いことさえできていない」と強調。
具体的な施策として、連邦政府のプログラムの下で
ワクチン投与を行う薬局、接種施設を
現在の約1万7,000カ所から4月19日までに4万カ所に増やすなどして、
国民の9割が接種施設から5マイル(約8キロ)圏内になるよう
インフラを整備する。また、4月19日までには、18歳以上の成人の9割が
ワクチン接種対象者になる。各州政府と自治体に対し、

5月1日までに多くの州が予定より早く
接種対象を拡大している、と説明しました。
実際に、私の住んでいるネバダ州では、
(若干予約は取りづらい状況ではあるものの)
今週から18歳以上のすべての国民はワクチンを受けられる状況です。
データでみると、4月7日現在で、ワクチンの接種回数は168,592,075回で、
国民100人当たり50.4人、ほぼ半数が接種を終えたことになります。

データ参考
https://www.nbcnews.com/health/health-news/map-covid-19-vaccination-tracker-across-u-s-n1252085

ただ、イースター休暇、春休みの影響で、
国民の気の緩みが起きていることも事実で、
変異種の感染患者や欧米諸国では新型コロナウィルスの
感染者や死者が再び急増していることもあり、
CDCのロシェル・ワレンスキー所長は
ホワイトハウスで記者会見中、
「まだまだ安心はできない。前向きになるべき理由はたくさんあるものの、
今の時点ではまだ恐怖はある」と述べ、事態は収束していないことも強調しました。
5月1日までにどの程度、接種が進むか、感染状況が激減するか、
で今後の規制も変わってくると思いますので、
引き続き注意しながら、感染予防に努めていきたいと思います。

元警官デレク・チョーヴィン被告の審理始まる

昨年5月に米ミネアポリスで
ジョージ・フロイドさん(当時46)の首を
膝で9分以上押さえつけて死亡させた
殺人罪で起訴された元警官の公判が3月29日より始まり、
2週目に入りました。
元警官デレク・チョーヴィン被告(45)は、
殺人と故殺の罪で起訴されていますが、罪状を否認しており、
今後の裁判の行方に全米が注目しています。
…というのも、
アメリカでは、警官に撃たれて死亡する被害者のうち
アフリカ系市民の割合が突出して多いからです。
アフリカ系市民は、薬物事件で逮捕される割合が高く、
実刑判決を受ける確率も白人市民に比べて5倍に達します。
また、容疑者が逮捕時に死亡しても
警官が起訴される割合は少なく、
ましてや有罪判決が出ることは極めてまれ。
凶器を保持していないフロイドさんを殺す必要があったのか、
故意に殺したのかが事件の焦点です。
今回の事件は、事件の起きた昨年5月より連日報道され、
警官に首を押さえつけられたフロイド氏が
「I cannot breath, mama」(息ができない。ママ)
と懇願する様子を撮影した映像は
おそらくほとんどの国民が見ており、
警官の行き過ぎた行為がフロイド氏の死に起因したことに疑問の余地はないでしょう。
それだけに、この裁判は、アメリカの刑事司法制度が
この事件をどう扱うかによって
今後の同様の裁判の重要な判例になるとも言われているために
注目度も高いのです。
裁判のアップデートはまた次回のリポートでお伝えします。

分断するアメリカ

この事件をきっかけに
「Black Lives Matter」(BLMと略される)人種差別抗議運動も活発になりました。
社会的な不安もあり、

アメリカでは今まで目をつぶっていた差別、国民を顧みない政党の分断など、
アメリカの深刻な問題が浮き彫りになっています。
アジア系を対象としたヘイトクライム(憎悪犯罪)も
増発しており、特に女性が標的になるケースが増えています。
これは、中国系の人に対するヘイトに限ったことではありません。
アジア系でない人から見れば、日本人も中国人もアジア系というくくりでは同じです。
この場で述べるには大きすぎるテーマですので
詳しく語ることは割愛しますが、アジア人というだけで
ヘイトの対象になることは許せないことです。
アジア系のコミュニティーでは、
抗議運動や見守り警護などで団結を強めて身を守る活動を続けていますが、
終息には時間がかかるでしょう。
私はアメリカで暮らしていて、実際に差別や攻撃的な態度を
直接取られた経験はありませんし、
日常的に身の危険を感じることはありませんが、
細心の注意は払って暮らしていこうと思っています。
日本のような単一国家でない人種のるつぼであるアメリカ。
そこがアメリカの強みであり魅力てもあるのですから、
アメリカで暮らす以上は、差別やヘイトよりも、
違いを受け入れて共存していく道を選んでいってほしいものです。

 

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