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可能性と即戦力

ー 今週のコラムー
ロドリガス晴海(クリエイティヴ・ヴィジョンUSA)
【可能性と即戦力】

【日米は雇用の概念が異なる】

日本企業の経営、人事担当者向けのセミナーで登壇の依頼を頂き、
日本とアメリカの雇用と研修の違いについて考える機会がありました。
日本のケースを振り返ると、
“雇用” の観念が日本とアメリカでは
根本的に大きく異なっていることに気づきます。
日本では、“就活”という言葉があり、
街ではリクルートスーツを着た学生たちが面接や会社訪問に出向く姿をよく見かけます。
そして4月は“入社式”。
採用の決まった新人達は、“研修期間” を経て、
辞令により配属先が決まるというケースが一般的です。
その後、1年後研修や4年後研修、そして中間・管理職研修など、
組織により研修コースが整備されています。
私自身も研修講師として新人研修や管理職研修を何度も担当した経験があります。
また政府や公共の機関、銀行などでは
人事異動という組織が配属場所を変える仕組みがあり、
長くご一緒に仕事をしている企業様でも担当者さんが変わると
仕事の仕方や対応の仕方が大きく変わります。

【アメリカでは会社に就職するというより、
その会社のポジションの仕事を得るというのが基本的な考え】

9月は、アメリカの学校制度の新学年の始まりですが、
同じ “新しいスタート” でも、学校と雇用の文化には大きな違いがあります。
日本の4月に見られる一斉の入社式というものがありません。
ちなみに、日本のような “入学式” もありません。
卒業式は大々的に行われますが、
受験から入学という
“入り口” を重視する日本とは反対に、
アメリカは出口である“卒業式”を重要視しています。
企業や組織による“一斉の採用”が無く、
必要なポジションを随時埋めるというアメリカでは同期入社という意識が殆どありません。

そのポジションに新しく入った人は、既に経験やスキルをもったベテランが多く、
経験値の少ない新人ではなく“新規採用” であっても
即戦力として力を発揮することを期待されます。
アメリカには“中途採用”という言葉は存在せず、
必要なポジションが発生した時点で、
その経験や資格を持つ人を随時採用するのが一般的です。
またアメリカで求められる資格=Qualificationとは、
“○○検定○級” や “○○鑑定士” といった肩書きではなく、
ポジションごとに定められたJob Descriptionで
必要とされる具体的なスキルのことです。
日本での就活は、
どの企業を目指すか=どの会社に入社したいかを考えますが、
アメリカ人は職を探す時、どんな仕事をしたいかを先に考えます。

私が日系企業で仕事をしていた時は、
よく“○○社の晴海さん”として見られ、
それは私個人ではなく、“○○社の人” という一人一人ではなく、
どこの組織に属するかという“メンバー” という見方をされました。
アメリカでは、個人と個人の信頼を重要視するので、
担当者レベルが責任をもち、判断も任せられることが多いですが、
日本はどんなに優秀な担当者と取引をしても、
判断は稟議というスタンプラリーが必要で、
何かを決めるには沢山のハンコが押され、
やっと組織としての最終決議になることが一般的です。

【Generalistと Specialistの違い】
日本の組織は人材を異動させGeneralistを養成します。
地方の工場で技術を学び、都市の営業所に移動になるなど、
“転勤” という言葉も頻繁に聞かれます。
アメリカでは、
自分から組織内の他のポジションに応募するプロモーションはあっても、
組織がスタッフを“配置換え”することはあまりありません。
それは採用の時点で、そのポジションに必要な経験やスキルを持った人が、
そこで即戦力として機能する為に採用されるからです。
アメリカの職場では、大学や大学院に通う事や、
仕事をしながら自分のスキルアップをするといったチャンスをつかむことに寛容です。
技術を学ぶための講習会に参加したり、
技術者がカスタマーサービスのセミナーを受けに行ったりと、
組織が提供する一斉の“研修”ではなく、
自分が必要とするスキルを伸ばすためのチャンスが組織外にも豊富にあります。
このように経験と実力を重視するアメリカでは、
大学を優秀な成績で卒業しても経験が少ない為、
希望の職種につけないという状況も起こります。

【自分の道は自分で切り開くもの】
アメリカでは中学、高校生は
一定時間の地域やコミュニティーでの奉仕活動が卒業要件に含まれていますし、
多くの大学生は、インターンやアルバイトをしたり、
本職を持っている学生も多く、社会経験が豊富です。
企業は学歴や成績よりも経験や人間関係のスキルを重要視し、
ポジションに応募する時は最低3人のReferenceが必要です。
このリファレンス(推薦状)で採用が決まると言っても過言ではありません。
“どんな仕事でも、誠実に努力をしていれば必ず道が開ける、
そしてその道は自分の足で切り開いて行くもの”
そんな観念がアメリカ人のチャレンジと向上心の基本になっているように思います。

 

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