独立記念日と愛国心
ー 今週のコラムー
ロドリガス晴海(クリエイティヴ・ヴィジョンUSA)
【独立記念日と愛国心】
アメリカの7月と言えば4日の独立記念日。
5月末から6月初旬には
全米のスーパーや小売店では、
独立記念日を祝うグッズ、
星条旗を模ったパーティー用のお皿やカップなどのセールが始まり、
それぞれの家も庭を飾りつけ、
帽子、T-シャツ、パンツ、サングラスや水着など
身に着けるものまでも星条旗となり、
7月のアメリカは赤白青で埋まります。
1776年に独立宣言をしたアメリカは今年で249歳、
2,600年以上の歴史をもつ日本に比べるとほんの10分の1の若さです。
写真:Happy Birthday America! ホームメードのアメリカケーキ
移民や植民地支配をされた経験の無い日本に比べ、
ヨーロッパからの移民が開拓し
その後植民地として
本国からの支配を受けてきたアメリカは独立後、
“国を守る”というアメリカ国民としての意識が高揚しました。
日本では、建国記念日に国民が揃って
日の丸のデザインの服を着たり、
家の周りを日章旗で飾ったりという風景はあまり見られません。
アメリカは人種のるつぼと言われながらも、
7月の独立記念日の頃は
誰もが星条旗デザインの衣服やグッズを身に着けて、
精一杯愛国心を表現し、
記念のパレードには多くの軍隊の支部や師団、
Communityの団体が参加して
アメリカ国民であるプライドを表現します。
自由の女神が象徴するもの
アメリカの愛国心を象徴する存在に自由の女神が挙げられます。
フランスからアメリカに贈呈された自由と平等のシンボル、
自由の女神像は通常、 “Statue of Liberty”と呼ばれていますが、
正式名称は、“世界を照らす自由” Liberty of Enlightening the worldです。
左手に持っているものは聖書ではなく、
独立記念日である1776 年7月4日とローマ数字で刻印された銘板です。
左足は鎖に繋がれ、右足元には引きちぎられた鎖があり、
全ての弾圧からの解放と自由平等の象徴とされています。
頭の冠の7つの突起は世界の7つの大陸と7つの海に自由が拡がるという意味です。
私はそれを知るまで角のような変な形だなと思っていましたが、
それぞれの部分が象徴する意味を理解するとまた見方が変わるように思います。
アメリカと日本の愛国心の違い
ここで、日本との文化的な違いにも目を向けてみたいと思います。
日本では国民の祝日以外に日の丸を掲げている家庭はほとんど見かけませんし、
日の丸をデザインしたTシャツを着て
帽子をかぶっているのは日本好きな外国人観光客でしょう。
自分の国に対して愛国精神を持つのは多くの国で一般的ですが、
アメリカほどその気持ちを前面に出す国は他にないと思います。
アメリカのケネディ大統領が、
“国が自分のために何をしてくれたかではなく、自分は国のために何をすべきかと問え”
と言ったように、
愛国心とは国を愛するだけではなく、
自分の国に役立つことを考え国のために生きる姿勢です。
この姿勢のルーツは、
子供の頃から学校で愛国心を育まれることにあると考えられます。
アメリカの小学校では、
何かの集まりがあるたびに国旗が掲揚され、
授業が始まる前に、Pledge of Allegiance(忠誠の誓い)を
生徒達が声高く呼称します。
暗黙の了解や、空気を読むという
自分の意見をはっきりと表現しないことが美徳とされる日本人には、
アメリカ人の直接的表現が大げさに感じたり、
個人的な思考を表現することに驚きを感じることがあるかもしれません。
しかし、多くのアメリカ人は、
表現しないことに対する不安や恐怖を持ち、
人に自分の考えをはっきりと伝えないと、
誤解されたり考えの無い人と思われたりするのではないかと感じるようです。
そんなアメリカ人を特徴付けるのが
外に向けて表現される愛国心と言えるでしょう。
日本人は“気持ちを汲む”ことができる素晴らしい人種ですが、
アメリカ人は“ハッキリ言わなければ解らない”人種なので
日本と同じやり方ではアメリカではなかなか通用しません。
日本人のビジネスの場では奥ゆかしさや謙遜も美徳ですが、
アメリカ人と商談をする時には、
“会社や上司の考え”ではなく、自分の考えをはっきり述べ、
遠回しな言い方を避け端的に信念を持って話すことが
コミュニケーションのポイントとなります。
相手の文化にあった表現、伝え方を考慮することが成功への秘訣です。
“良いものなら分ってもらえる!”という日本の美徳も
海外では不遜になることもあります。
それぞれのお国柄を理解した上での
ビジネス戦略を立てることが成功への近道だと言えるでしょう。
日本とアメリカを繋ぐ仕事に長く関わってきた私の得た結論は、
“文化の違いによるギャップは埋めることはできない、
でもそれを繋ぐ橋を架ける事はできる”ということです。
日本とアメリカ、近いようで全く発想の異なる二つの国が、
良いところを吸収しあい、
調和を保った関係がこれからも続くことを祈り、
私も自分のできる精一杯を尽くしたい、
そんな気持ちを新たにしています。











