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CES2021に見た「オンライン展示会」の使い方

― CV スタッフのコラム ― 
    By   清水 保彦
         (CVプランニングディレクター)

 
【CES2021に見た「オンライン展示会」の使い方】

 

【「ALL DIGITAL」という言葉がすべてを表していたCES2021】

「2021も、CESはリアル開催する」と言っていたCTAが、
しばらくして「デジタルで開催」と発表し、
出展者それぞれのページがどう作られるかは
ギリギリになるまで分からなかったCES2021。
それまでのオンライン展示会の多くが“バーチャル空間”に見せかけた
ユーザーインターフェイスを提供していたため、
世界最大のIoT展示会であるCESがどのようなバーチャル空間を作るか
期待していた人たちも多かった。

しかしCTAは疑似的な手法を採らず、

ALL DIGITALの言葉そのもの=Webサイト本来の構造で
CES2021を開催した。
当初1450社の出展枠が用意されていたが、最終的には1957社の出展社数に。
つまり「1957ページあるWebサイト」が、CES2021を名乗って出現したのだった。
バーチャルではなく、シンプルにALL DIGITAL。
これは、今後のオンライン展示会の使い方を考えるための
貴重な事例になったと考える。

【「1/1957」である自覚をどう活かせるか? 】

CES2021の出展料は、
1,500ドル、25,000ドル、85,000ドルの3タイプ。
それぞれの違いは基本的に、
出展社ページに載せられる動画の本数と長さ、
載せられる資料の数。最も高い85,000ドルのものには、
ライブ配信のチャンスが出展社ショーケースの期間(2日間)に
30分1本ずつが認められたり、別料金を支払えば
トップページへのバナー掲出も買うことができるようになっていた。
ただし、各出展社のページの作り方はまったく同じ。

(下の画像は、1,500ドルのJAPAN TECHと25,000ドルのJ-startup)
(J-startupの方は、大きな画像が貼り付けられるようだったが、
PC画面では見切れている)

リアルのCESであれば、大企業とスタートアップは
ブースの予算に応じて広さも造型も違い、
場所の良し悪しもあって来場者へのアピール度には
天と地ほどの差が生まれる。
ところがオンラインでは、すべての出展社が基本的に同列に並ぶ。
見に来る人にとっても出展する側にとっても、
これは今までのCESにはなかった事態である。
つまり、誰もが「1/1957」の存在。
この1/1957であることを自覚した上でCES2021をどう活用するか?
それが今回の出展社の課題だったと思う。

【「籠城」ではなく「討って出る」姿勢がオンラインの活かし方 】
オンラインでの展示会では、
当たり前だがリアルのようにブースの前を通る人たちはいない。
単にオンライン出展しただけでは、1/1957に埋もれてしまう。
しかし、JAPAN TECH出展社の中に埋もれなかった例がある。
会期後半になると自社のCESページへのアクセス数が増え、
出展製品の販売数が過去最高を記録したという出展社だ。
JAPAN TECH自体は、
有楽町駅前のb8taというリアルスペースに
展示ブースを設けたことでプレス取材も多く、
その露出がアクセス増に結びついたという理由もある。
しかしそれ以上に大きな原因があったと思われる。
それは・・・
「商談用のチャットルームで待っているだけじゃなく、
他の出展社のチャットルームを探して積極的に訪問していた」

というもの。
リアルにはないオンラインのメリット=
日本にいながらCES出展社にアプローチできるということを
上手に活用した例だ。
別のオンライン展示会で散見された
「夜中もチャットルームにいたが、会期中で3人くらいしかチャットに来なかった」
という例と照らすと、
チャットルームに張り付く「籠城」タイプより、
留守にしてもいいから
(面談予約機能もある)他社のチャットルームに
「討って出る」タイプがオンラインでは有利だったのだ。

【もちろんオンライン以外でのニュース化も必要 】

討って出る形でオンラインを活用するとともに、
あえてオフラインでのメディア露出を獲得することが、
オンラインのアクセス向上に役立つ。
JAPAN TECHは、そのオフラインのルートをb8taという
リアルスペースにブースを設けることで確保しようと考えた。
結果は、「JAPAN TECH b8ta」という
検索キーワードでの記事検索件数が
1月8日から17日までで732件。
例年は「CES」という大きな検索キーワードでも
400~500件であることを考えると大きな記事獲得数だといえる。
オフラインでの記事
(Webニュースも含まれるので、その意味ではオンラインだが)露出で、
オンラインのアクセス数を増やす。
さらに2022年のCESは、すでにリアルとオンラインの両方を行う
「ハイブリッド」での開催が発表されている。
(出展スペースの争奪戦も、そろそろ始まる)
リアル会場で巻き起こる「CESマジック」(思いもよらないビジネス上の出会い)と
討って出れば効果の上がるオンライン。
その両方を上手に組み合わせる。
これが、これからの展示会のニューノーマルということになるのだろう。

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