MICE ふたたび
ー CVスタッフのコラムー
清水保彦(CV プランニングディレクター)
【MICE ふたたび】
※最初に書いておきます。
今回写真ありません。さらに長いです。
コロナ前。日本全国に「IR」という言葉の嵐が吹き荒れました。
Integrated Resort
カジノやホテル、劇場、国際会議場や展示会場、ショッピングモールなどが集まった
複合的(Integrated)な施設のことです。
日本では2016年には「IR推進法」が成立し、2018年には「IR実施法案」も成立しています。
大阪は万博跡地をどうするかという問題もあって、
この「IR」という考え方に飛びついたように思います。
実際、ラスベガスやマカオでカジノを経営している
MGMやサンズといったカジノ大手が来阪し、
梅田のグランフロントとかで「IRって何や?」的なプロモーションイベントを
繰り広げていた時期もありました。
万博跡地の利用を推進する協議会などにも、彼らの名前を見ることができました。
その勢いもコロナで吹き飛び、
IRという言葉自体も聞くことが少なくなっていたのですが、
最近少し言葉を変えて、このIRの考え方が
復活して来ているように思うのです。
その言葉は「MICE」。
実はIRと表裏一体の言葉でもあるのです。
MICEは、
ビジネスイベントの総称
IRが浮上した当初から、
経済界はIRを成功させる必須要素であるMICEに大きな期待を寄せていました。
MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、
国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、
展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語で、
それらビジネスイベントの結果としてIR(複合的商業施設)が成立するのです。
弊社代表の加藤も経済界のセミナーとかに呼ばれ、
MICEの先輩例としてのCESやアメリカの展示会について
話をさせていただいていました。
しかし、経済界=MICEの主体であるはずの側の意識は相変わらず
「どこかで流行っているものを持ってくる」発想から
なかなか抜け出せていないように見受けられました。
はっきり「CESを万博跡地に持って来れないか?」と
言われたことさえあるくらいです。
他人のフンドシで取るビジネスイベント…。
CESが極東での開催地として上海を選び、
日本を選ばなかった理由はここにあると思います。
今、ネットでMICEを検索すると
コロナでいろんなことが消沈し、
IRやMICEも騒がしくなくなっていたのですが、
万博を前にしてそこそこ話題化されているように思います。
ネットでMICEを検索すれば、
大阪観光局の公式MICEサイトから
大阪府・市がMICEの新目標 開催数「世界10位以内に」設定とか
大阪MICE開催支援プログラムとか
大阪国際経済振興センター MICE業界の再起動を目指してとか
JTBさんが「西日本MICE事業部」を作っていたり。
この「MICEふたたび」的な検索結果が山ほどヒットします。
その中で「Japan MICE EXPO 2024実行委員会」
(公益財団法人大阪観光局、株式会社大阪国際会議場、
一般財団法人大阪国際経済振興センター)さん
というところが、
“日本のMICEブランドを世界に発信するMICE総合国際展示会”
「Japan MICE EXPO 2024」を
10月にインテックス大阪で開催されることが検索結果として出ていました。
ちょっと不思議に思いました。
「世界に発信する」展示会がインテックス大阪ですか…。
MGMとサンズが大阪に来たみたいに海外で発信すればばいいのに…。
もっと自由なMICEの芽を
コロナ前に、注目すべきイベントが一つ大阪で生まれていました。
海外のスタートアップを招聘し、
日本のスタートアップとともに一つの展示会にまとめる。
ここまではよくある手法ですが、
これを梅田のグランフロントの1階広場で開催した点に注目です。
展示会場という閉鎖空間ではなく、
ビジネスマンよりお子さん連れのママさんや
お買い物のファミリーが多い場所で、
世界の最も尖ったテクノロジーに触れることができる。
最後には暮らしに貢献するイノベーションだから、
暮らしの主体である普通の生活者に見てほしい。
この考え方。新しくないですか?
このイベントも、来年1月に復活予定と聞いています。
どこかの誰かが作ったものじゃなく。
日本の関係者だけで盛り上がるのでもなく。
海外にもちゃんと告知できて。海外からも来場者が来て。
入場料を有料にしても、ちゃんとお客さんが入るMICE。
CESをお手本にするのもいいのですが、
北欧最大のスタートアップイベントである
SLUSHの自由な感じも参考にしたら良いと思うのです。
てか、まずSLUSHなどというちょっと毛色の違う展示会も
世界にはある。ということを認識する。
そこから初めて「日本の、大阪のMICE」を考えることが可能になると思うのです。
死ぬほど暑い大阪で、未来の大阪にちょっと思いを馳せてみた清水でした。