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Thanksgivingの起源と意義

 ー CVスタッフのコラムー
By ロドリガス晴海(CV USA)
【Thanksgivingの起源と意義】

アメリカの11月。
4年に1度の大統領選挙の年を除けば、
最初に思い浮かぶことはやはりThanksgivingでしょう。

Thanksgivingは” 感謝祭 “と訳されていますが、
同じ意図の休日は日本にはありません。
11月の”勤労感謝の日“と何となく名前が似ていますが、
意味も歴史が全く異なります。

Thanksgivingはその他の多くの宗教的な祝日が
古いヨーロッパから伝わってきたものに対して、
アメリカ起源、独自の祝日です。
Thanksgiving、感謝祭の起源は、
1620年イギリスからアメリカ東海岸、
マサチューセッツ州に到着した移民たちが
多くの苦難を乗り越え、原住民の助けを得て、
翌年1621年には収穫ができたことに対して
神の恵みに感謝して
原住民と一緒にご馳走を食べたことが始まりです。
初期の移民は厳しい冬に多くの死人を出し、
イギリス本国から持ってきた種や苗が
アメリカの土壌に合わずに育たないといった
苦労を強いられている時に、
近隣の原住民の助けでトウモロコシなど
新大陸の土壌に適している作物の栽培知識を得て
生き延びることができたと伝えられています。

周りを海に囲まれ長い鎖国で、”海外からの移民“が少なく、
純度の高い単一民族の集まりである日本では、
このような”移民“による起源の祝日というものがありません。
アメリカの東海岸の多くの州名が、
”New England” “New York”など
イギリスの地名にNewが付いている事も
アメリカがイギリスからの移民により
開拓された国であることを示しています。

感謝祭を連邦国家の祝日と定着させたのは、16代大統領リンカーンでした。
一つの国が南北に分かれ、父と息子が南軍、北軍に分かれて互いに戦うという
悲惨な”南北戦争が1865年に終結後、リンカーンは
“国内の融和を図り、国家としての団結を取り戻す為に”
感謝祭を11月の第4木曜日、国家の休日と定め
家族の集いを奨励しました。 
この為、”収穫を感謝“をするお祭りに、
”遠く離れた家族親族が集まり絆を深めあう“という意味が加わり、
アメリカの伝統行事として根付いています。
アメリカ子供達も学校で 
”建国以前の入植者たちの困難とそれを助けた先住民“
という逸話に基づく感謝祭の意義を教えられます。
ただアメリカ国内ではこれに反する先住民の異なる見解があります。
インデアン達は、この感謝祭を
“先祖たちの知識や土地がヨーロッパからの移民により
奪われた大量虐殺の始まりの日”として認識し、
現在でも追悼の日として静かなデモ抗議を行い、
喪服を着て虐殺された先祖達に祈りを捧げています。
このような抗議は”先住民“ ”移民“という存在を体験なく、
アメリカの歴史としてしか学んでいない日本人には
なかなか実感がわかないことかもしれません。
近年 感謝祭の翌日を”アメリカンインディアン遺産記念日“として
先住民の伝統文化や言語などの遺産を再認識する日とされています。 

現代のThanksgivingは宗教的な意味合い以上に
家族や友人が集まる日となっているので、
感謝祭の前の週末や、感謝祭の前日は
空港、高速道路などの交通機関が1年中で最も大混雑する日となります。
一方、感謝祭当日は、空港や町中が閑散とし、
感謝祭が”家族が集まる為の日“であることを物語っています。 
感謝祭の食卓は、

大きな七面鳥(5Kg~12㎏にも及ぶサイズ)をメインに、マッシュドポテトやヤム、
Green Beans(いんげん)、トウモロコシなどの副菜、
そして季節のパンプキンパイなどがデザートとして添えられ、
大きなテーブルの大皿から家族が分け合って食べるのが
典型的なアメリカのThanksgiving の風景です。
この集まりに備え、小さな子供達はマナーを学び、
”Pass me the peas, please“ 
という子供向けのマナーの本は、
子供のいる家庭には必ず一冊あるといっても過言ではありません。

普段、食前の祈りなどを捧げない家庭であっても
Thanksgivingのテーブルでは、
皆が手を繋いで食前に、
”I am thankful for―私が感謝している事“を一言ずつ語ります。
日本には移民の歴史がありませんが、
収穫を感謝する土着のお祭りは
各地で行われている事と思います。 
”感謝祭“という国民の祝日がなくても
この時期に自分の周りの感謝することを振り返り、
自分の生活を支えてくれている人達に感謝をする時間を持ち、
それを伝えてみてはいかがでしょうか? 

私もこのメルマガという媒体を通じて、
日本の皆さんにアメリカの文化や行事を
お伝えできる機会に感謝して今回の記事を終わります。

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