アメリカ最前線リポートVol.30~アメリカのルッキズム崩壊?
ー CVリポートー
By アーカス・リツコ(CV メルマガ編集長)
【アメリカ最前線リポートVol.30】
・スーパーチューズデー結果
・アメリカのルッキズム崩壊?
スーパーチューズデー結果
報道でご存じの通り、
3月5日、11月の米大統領選に向けた共和党の候補者選びのクライマックス、
「スーパーチューズデー」の投票が行われ、トランプ前大統領が14州で圧勝しました。
これを受け、トランプ氏のライバルであるニッキー・ヘイリー氏は撤退を表明。
大統領選はバイデン対トランプの対決がほぼ確実になりました。
数々の訴訟を抱え、先行き不安の多いトランプ氏。
ヘイリー氏もトランプ支持を表明していません。
一方、バイデン氏には高齢による不安説も多いため盤石とは言えず、
11月の本線までは混沌状態が続きそうです。
本メルマガでも逐次リポートしたいと思います。
アメリカのルッキズム崩壊?
~アメリカの多様性はここまで来たか!~
ダイバーシティ(Diversity)とは一言でいえば「多様性」。
もともとは人権問題や雇用機会の均等などで使われることが多かったこの言葉ですが、
現在では、人種。年齢、性別、能力、宗教、趣味嗜好、価値観など
さまざまな違いを持った人々が、社会に共存している状態を示します。
見た目、人種などで偏見や差別があってはいけない。
これは紛れもない事実なのですが、
昨今はこの「多様性」の縛りが逆にきつくなりすぎているのではないかと
感じることがあります。
例えば、最近のアメリカのTVのCMや企業広告、パンプレットには
ある意味不自然なほど、いろんな人種の人が登場しています。
広告業界の人の話では、なるべく多くの人種の人を使うというのは
「掟」のようなものだそうで、
そうして注意深く見てみると、今や白人だけが出演するCMは皆無と言えます。
日本のCMは、芸能人や有名人ばかりが出演していますが、
アメリカのCMには俳優や有名人はあまり出演していません。
昔に比べれば若干出演している例もありますが、
ほとんどのCMには無名の俳優が出演しています。
それも(化粧品などを除いでは)映画スターのような美男美女ではなく、
どこにでもいるような人たちが選ばれています。
体型もさまざまです。
「多様性」の時代。いいことですね。
でも、でもなのです。
今日、Target(日用品が何でも揃う量販店)に行ったところ、
店内に大きく掲示されているPOPを見て驚いてしまいました。
それもファッションのエリアで、です。
いわゆる美男美女はもともとこの店の広告には使われてはいないのですが、
めちゃくちゃの歯並び、ぶよぶよの肉体モデルのオンパレード。
これもダイバーシティーの一環なのだろうか。
アメリカのルッキズムの崩壊はここまで来たかと首をかしげてしまいました。
広告に、美しいもの、購買力をそそるものを求めてしまう時代はもはや古いのか、
モデルにも多様性は必要だと思うけれど、どういう基準であの人たちは選ばれたのだろうか、
多様性を求めるあまり商品を魅力的に見せるという
広告本来の意味を放棄してはいないか?ともやもやし、
しばらく彼女たちの画像が頭から離れませんでした。
まぁある意味強烈で、印象には残りましたけど、
ここの服を買いたいか?の答えはNOでした。
現在、日本で放映中のドラマ『不適切にもほどがある』を面白く観ていますが、
これは昭和、令和のコンプライアンスや価値観の違いが対比されていて、
とても興味深いです…。
ただ、私は平成にアメリカに来てしまったので、
令和の会社事情はわかりませんが、色々大変だなぁと思います。
第7話ではルッキズムについて唄うシーンがありました。
何度も言うようですが、
人は見た目で判断してはいけない。
差別や偏見はあってはならない。
もちろんそうなのですが、見た目が大事なこともある。
見た目が重要なシーンもある。
見た目で判断することもある。
それも「多様性」の一つなのではないか、
と、考えてしまった今日の午後でした。