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【ここでも製菓業界!母の日の由来と日本商法】

ー CV スタッフのコラム ー 
      By ロドリガス晴海 (CV USA)

【ここでも製菓業界!母の日の由来と日本商法】

今回のコラムは、日本の母の日が
他の宗教的な行事(クリスマスやバレンタインデー) と同様、
製菓業界によって広まったことについてお話したいと思います。
5月に母の日を祝うことは宗教とは関係ありません。
日本の家庭でもカーネーションを飾ったり、
お母さんにカードやプレゼントを贈る習慣は浸透しています。
しかし、その由来を知っている人は少ないかもしれません。

母の日の由来

1.アメリカ
諸説の中で、有力な母の日の由来とされているのは、
アメリカのウェストバージニア州のアナ・ジャービッツという女性が
亡くなった母を偲んで、白いカーネーションを教会で配ったという話です。 
アナの母親で、平和運動家であったアンナは、
南北戦争で国が分断されて戦っている中、
“Mother’s Workday” として、女性達を結束させ、
敵味方の区別なく負傷兵士を助けていました。
娘のアナは母の死後2年目、1907年の5月12日に、
アンナが教師をしていた教会に記念の会を設け、
母の好きだった白いカーネーションを配りました。 
その日には、娘のアナの母への思いに感動し、
アンナの”母へ感謝する日“という気持ちを称賛する多くの人が集まりました。


ここで特筆すべきことは、
娘のアナは、この記念の日を
”アンナ・ジャービッツの日“とせず、”母の日“として位置付けたことです。
この意図が多くの共感と賛同を呼び、3年後の1910年には、
ウェストバージニア州知事が”5月の第2日曜日を母の日とする“という宣言をし、
その後、1914年にアメリカ合衆国の議会が5月の第2日曜日を母の日と制定し、 

全国で祝われるようになりました。

 

2.イギリス・アイルランド


古くからイギリスやアイルランドでは、
復活祭の3週間前の日曜日に奉公に出ていた子供たちが、
雇い主からのお土産を持って教会で母に会える、
“Mothering Sunday”という習慣がありました。
これが、現在のヨーロッパ諸国での”母の日“の起源とされています。 
今でもヨーロッパでは、その時期に咲く春の水仙をシンボルに
”Mothering Sunday“を継承している国も多くあります。

3.オーストラリア
南半球のオーストラリアでは、1920年代、女性老人ホームで過ごす
”忘れられた母に贈り物を届けよう“という運動が起こり、
学校や企業の協力を得て、年々規模が大きくなりました。
母の日として、菊の花をシンボルとして、
ジャケットの襟に菊の花や菊のピンをつけて
母親への感謝を示す習慣があります。


北半球とは季節が反対のオーストラリアでは、
5月は秋、秋を代表する菊の花がシンボルというのが、
”母の日=カーネーション“という私の概念を覆しました。

4.日本
母の日は宗教的な背景がなく、“母を敬い感謝する”という
誰でもが持っている概念から形作られて来ましたが、
日本の母の日の由来を調べてみるとやはり”日本商法“の影響がありました。 
明治以降、アメリカ人によって伝えられた母の日の習慣は、
教会などで行われていましたが、全国的に広まることはなく、
1931年、大日本連合婦人会が香淳皇后(昭和天皇の后)の誕生日の3月6日を
母の日と定めましたが普及しませんでした。
ここで大きな役割を果たしたのが森永製菓です。
1937年(昭和12年)5月8日に、”ありがとう、お母さん“というキャッチ・フレーズで、
”森永‐母の日大会“が東京の豊島園で開催。
20万人もの母親と家族が無料で招待され、
子供たちと母親が
豊島園での楽しい一日を過ごしたのが普及の転機でした。
森永製菓はキャンペーンとして、歌を作り、
子供たちから絵や作文を募集し、
当日は景品やお土産を配り”母の日大会“を大成功させました。
戦争での中断はありましたが、この大会の大成功と、
戦後のアメリカの影響で、日本では5月の第2日曜日が母の日として定着しました。
私も”お母さん、ありがとう“
という紙のついたカーネーションの造花を
胸に付けていた子供時代を思い出しました。

世界各地では、母の平和運動を称えたり、
施設の母親への贈り物であったり、古くは雇い主が子供に母親と会える機会を設けた
”母の日“の由来が、日本では”森永―母の日大会“という
製菓業界のキャンペーンにより浸透したという事実に、
ここでも日本商法の巧みさを感じさせられます。
理由、由来はともかく、母親の存在がなければ、
私達はこの世に生まれてこなかったのですから、
母への感謝は、5月の母の日だけでなく、
またいくつになっても忘れずに過ごしたいものですね。

補足になりますが、5月5日の子供の日は、
国民の祝日に関する法律第2条により 
“子供の人格を重んじ、子供の幸福をはかるとともに、
母に感謝する日”とされているそうです。

 

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