TOPへ

BLOG
  1. トップページ
  2. BLOG

アメリカ最前線リポートVol.30:アメリカでの日米会談が9年ぶりに実現

ー CVリポートー
By アーカス・リツコ(CV メルマガ編集長)
【アメリカ最前線リポートVol.30】
アメリカでの日米会談が9年ぶりに実現

メルマガ読者の皆様も報道等でご存知の通り、岸田首相が訪米中です。
日本首相の国賓待遇での公式訪米は、実に9年ぶりということで、
岸田首相夫妻が到着した4月9日には大統領夫妻の大歓迎を受け、
夜は地元のシーフードレストランでディナーを楽しんだそうです。

翌日、4月10日には、ホワイトハウスで日米首脳会談が行われました。
内容は、中国抑止に向けた防衛協力、ウクライナへの支援、
日本製鉄が計画しているUSスチールの買収など、
2時間にわたって様々なテーマで話し合いが行われ、
会談後に、岸田首相は、
日米の防衛・安全保障面での連携強化を確認したこと、
日米両国がグローバルなパートナーとして真価を発揮すべき時であると述べました。
夜にはバイデン大統領夫妻が主催する公式晩餐会が開かれ、
招待された日米各界の著名人が楽しい時間を過ごしたようです。

P.S. レセプションには、CV USAのロドリガス晴海氏も出席しましたので、
次回の晴海さんのコラムで内容をシェアしていただく予定です。

4月11日には、アメリカ議会の上下両院合同会議で
「未来に向かう我々のグローバルシップ」と題した演説を英語で行いました。
まずは
「自由と
民主主義がこれまでにない規模で脅威に晒されている」
と危機感を表明。
中国が過去最大級の戦略的な挑戦をしかけていること、
北朝鮮の拉致、核、ミサイル問題、ロシアへの弾道ミサイルの輸出によって
ウクライナの人々が苦しみを増大させていると批判。
こうした世界情勢においてアメリカのリーダーシップは「不可欠」なものだし、
(アメリカのリーダーシップがなければ)
ウクライナの希望はロシアの猛攻撃で打ち砕かれ、
インド太平洋の安全保障と安定に大きな影響をもたらしていただろう。
しかし、アメリカ一国が国際秩序を守ることを強いられる理由はない。
日本国民は自由の存続を確かなものにするためにアメリカと共にあると述べ、
日本はアメリカと協力して、国際秩序の維持を図る。
そして、「ウクライナの今日は東アジアの明日かもしれない」
とも訴えました。

岸田首相演説が終わると拍手が起こりましたが、
マージョリー・テーラー・グリーン下院議員を含む一部の共和党強硬派は出席しませんでした。
上院は2月、ウクライナへの950億ドルの援助パッケージを可決しましたが、
共和党が多数を占める下院ではまだ審議がされておらず、
共和党強硬派はこの法案に反対していること、
USスチールの買収計画をめぐっても反対していることが欠席の理由と思われます。

さて…。
日米間が友好関係にあるのは素晴らしいことなのですが、
いいことばかりじゃありません。
岸田首相が訪米してから、円安が急激に進み、
4月10日には34年ぶりに一時153円をつけました。
理由はアメリカの長引くインフレ懸念が広がったためとは言われていますが、
一説には「岸田首相の訪米中に日本側が為替介入することはないだろう」
と投機筋が円売りを仕掛けた可能性も指摘されています。
円安の原因とされるインフレ。
アメリカの物価上昇は止まらず、消費者価格は2021年比で18.9%上昇しています。
在米の私は、スーパーやレストランに行くたびにため息がでますし、
訪米したお客様やスタッフがビッグマックのコンボが13ドル、約2,000円!
日本のビッグマック・コンボは750円なのでドルにすれば5㌦!
その違いに驚いています。
空港で水を買ったら500円!
何を買っても、クレジットカードの支払いが
アメリカ$価格の1.5倍の円になると嘆いています。
ビッグマックで比べてみたのは、

イギリスの経済専門誌「The Economist」によって提唱され、
1986年以降、年に2回発表されている、

ビッグマック指数(The big mac index:BMI)というものがあるからです。
マクドナルドのハンバーガーは、
世界中でほぼ同じ材料と方法で作られていることから
一つ当たりのコストに差がないと考えられ、
その価格を異なる国・地域の間で比較することで、
各通貨の実質的な価値や各国・地域の総合的な経済力の目安にできるとされています。
もちろんそれだけでは判断できない面もありますが、日米のこの違いには愕然としませんか?

この円安問題は、CVのようにアメリカの展示会出展サポートに
特化した会社にとっては大きな痛手になりますし、
これからアメリカ進出をお考えの企業、
アメリカへ旅行したい人などが、決断する前に大きく躊躇する理由になります。
また近年、日本からアメリカに留学する人が大幅に減っているのも、
アメリカの学費の高騰と円安が大きな原因の一つとされています。

日米間、世界の安全は何より優先されるべきですが、
この経済格差を少しずつでも縮めていかない限り、
「日本が世界で勝負する」ことがどんどん難しくなっています。
バイデン大統領もインフレ問題には(一応)果敢に取り組んでおり、
日米会談記者会見でも
「FRBが年内に利下げを行うという予測は変わっていない」と断言し、
自身の政策によってインフレを劇的に下げてきたことを強調しましたが、
アメリカ国内では、生活に欠かせない食料品、ガソリン、家賃などの
価格の上昇が続いており、家計は圧迫されています。
アメリカのインフレがもたらす影響は世界に及びます。
大統領選でもインフレ問題は争点の一つとなるとみられていますので、
バイデン大統領は早急に結果を出さないと11月にもっと恐ろしいことが
起きないともいえません。

Copyright © CREATIVE VISION. All Rights Reserved.