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日本で浸透しないイースター

ー CVスタッフによるコラムー
By ロドリガス晴海(CV USA)
【日本で浸透しないイースター】

昨年の4月に、
日本人にはキリスト教信者でないと
あまりなじみのないイースターについてコラムを書きましたが、
今月はやはり日本で浸透しないイースターについて再び考えてみたいと思います。
ちなみに今年のイースターは3月31日でした。

日本でも海外の発祥の祝日や行事、クリスマス、バレンタインデー、
また10月のハロウィーンも若者の大きなイベントになり、
宗教色を抜いて独自の文化になっています。 
その反面、キリスト教国ではクリスマスよりも重要とされている
イースター”復活祭”が日本ではあまり浸透していないのはなぜなのでしょうか?

憲法で宗教の自由を保障する日本は、
クリスマスは国の定める祝日ではありませんが、
11月からのクリスマス商戦で、
サンタクロース、プレゼント、クリスマスツリーは日本中で見かけます。
キリスト教信者でない家でもクリスマスの日には、
子供たちがサンタさんからのプレゼントを待ち焦がれます。

そしてチョコレート業界のキャンペーンによって
浸透したバレンタインデーや、
和菓子店が提唱して根付いた日本独特のホワイトデーは、
日本独自の行事となり生活に浸透してきました。
ところが、イースターという言葉は、商業施設でもあまり見かけませんし、
キリスト教に縁のない方は、
“聞いたことがあるけど、卵とかウサギが出てくる日?” 
という程度の認識で、
“イエスキリストの復活を祝う日”
と言われてもあまりピンとこないかもしれません。



写真:アメリカのイースターは、
クリスマスのサンタに代わり、
イースターバニーと写真を撮ります。
子供のいる家庭では、クリスマスのサンタ、
イースターのバニーとの写真撮影は恒例行事ですが、
私の2歳の孫はサンタさんやバニーが怖くて大泣きです。
カメラの後ろで親達がどんなに笑わせようとしても
大泣きする子が少なくありません。
幸い生後7か月の孫はまだ怖いもの知らずなので
笑顔のシャッターチャンスがありました。


写真
子供達が色とりどりに染めたイースターエッグ
(固ゆで卵をフードカラーで、いろんな色に染めるのは、
イースター前の子供達の大事な役割です。
でも、その卵を前の晩にウサギ(イースターバニー)が来て
隠してしまうので、エッグハントはイースター恒例の行事です。
(補足説明:多産のウサギや卵は生命/復活の
シンボルとされています)

イースターが日本であまり浸透していない理由を考えてみました。
1. 移動祝祭日
イースターは、何月何日とはっきり決まっていません。
クリスマスの12月25日、バレンタインデーは2月14日、
また日付の決まっていない祝日でも
感謝祭は11月の第4木曜日など曜日が定まっています。
それらに対し、イースターは 
“春分の日を過ぎた最初の満月の次の日曜日”

というとてもややこしい設定になっていて、
年によっては、3月最後の日曜日だったり、4月の半ばや後半になったりします。
2024 年のイースターは 3月31日の日曜日でした。
毎年決まった日でないため、
ピンポイントのターゲットに向けたキャンペーンができません。
12月25日が過ぎたらお正月飾り、
2月14日の翌日から即ホワイトデーと
キャンペーンをきちんと企画する日本商法にはうまくはまらない祝日の一つです。

2.日本の年度末、新年度と時期が重なっている
イースターが日曜日であること、
年によっては3月末で、卒業、年度末、決算、移動の時期と重なり、
4月であれば、新年度、歓迎会など、
3-4月の日曜日に新しいお祭りごとの行事をする暇がありません。
4月は桜の時期、日本の国民的行事であるお花見に重ねて
イースターを祝うのは、
キリスト教信者に限られてしまうのでしょう。

3.復活という宗教的な観念が受け入れにくい
同じキリスト教の祝日でもクリスマスが
”イエスキリストの誕生を祝う日“という意味はキリスト教信者でなくても
日本人の間では広く認識されています。
誰にでも誕生日があり、
それを家族や友人で祝う経験をもっているからではないでしょうか? 
イースターは、復活祭:キリストが復活したことを祝う日です。
誕生に反して、復活という観念は
自分で経験していないので受け入れにくいことが要因の一つかもしれません。
宗教の自由を謳う日本では、
キリストの復活を祝う宗教色の強いイースターが国民的行事にはなり難いと感じます。

4月は日本では新学年、入学式や入社式で新しい門出を祝う時期ですが、
アメリカでは入学式や入社式という観念がありません。 
海外出展、海外市場開拓を検討されている企業には
進出先の文化を知ることもとても重要な第一歩です。 
日本が新年度で忙しい時、
欧米のキリスト教国は長いイースター休暇に入り、
この期間のビジネスは止まるのでご注意ください。

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