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川上と川下 そしてノブレスオブリージュ

 ー CVスタッフによるコラムー
By 清水保彦(CV プランニングディレクター)
【川上と川下、そしてノブレスオブリージュ】

ビジネス用語としての川上と川下は、
メーカー → 卸 → 小売りみたいに説明され、
物が上から流れ、お金は下から上ります。
しかし、清水がいる業界(制作系)では、指示とお金が上から流れ、
物が上へと上がって行きます。

この川の一番上にいるのが、クライアントです。
クライアントは、作ってほしいものを発注します。
「こんな内容で」「こんな体裁で」「いつまでに」
というオーダーを制作会社に振り出します。

制作会社のディレクターは、
「こんなイメージで」「こう作ろう」という指示をスタッフに出します。

指示を受けたスタッフは、必要な作業を洗い出して、
いろいろなパートを受け持つ専門職に振り分けます。
というように、川上から川下へと順に指示が下っているわけです。

では、川上にいる者は好きに指示を出しているのか?
ま。それなりに各段階で苦悩があるわけで。

今回はその苦悩の一部を、
作家の開高健さんもよく使われていたノブレスオブリージュという言葉で
読み解いてみたいと思うのです。

貴族の義務?
否、川上の義務

ノブレスオブリージュは、フランス語で「貴族の義務」という意味の言葉。
開高健さんは「位 高ければ、務め多し」と書いておられます。

そう。川上の者は川下の人より多く働かなければならないのです。
下の人に手を動かしてもらうために、情報を整理し、巧妙に段取りを組み、
必要な素材を手配し、作業全体の流れもコントロールする。
必然的に、多岐にわたる作業の一つひとつを
順調に動かすための気配りもすることになり、
そこに多くの時間を必要とします。

たぶん最初は、
クライアントのオーダーを分解するところから
川上の作業は始まるはずです。
この部分は、こういう作業が必要だ。
この作業は一つ前の作業ができてないと始められないから、
最初にこの作業から振り出そう。
振り出した作業はちゃんと予定を守らないと
その次の作業が遅れることになるから、
予定を守ってもらうためにコレをこうしよう。
てな感じです。

ただし、このオーダーの分解と振り出しに
長時間かかっているわけにはいかないのです。
クライアントのオーダーが来て、2週間後にスタッフに指示を出す。
では、マズいのです。

締め切りや納品日はあまり伸びたりしないので、
川上で消費される時間はそのままスタッフの作業時間から
奪われる時間になるのですから。

しなければならないことの「量」と下から求められる「決定スピード」。
これが、足し算ではなく掛け算で川上の者に求められる「務め」です。

あ。「作業時間の想定」も、仕事の一つで
「これ、3日で作って!」なんていうムチャ振りを、
「できるわけないでしょう!」と押し戻すことも川上に立つ者の仕事となります。

さて、最初の方で「一番川上はクライアント」と書きました。
これをお読みいただいている方の中には、
「クライアント」の立場にある方も多いと思います。

一番川上にいらっしゃる立場として、
あなたのノブレスオブリージュはどういったものでしょう?

今度お目にかかった折に、ぜひ清水に教えていただければと思います。

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