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アメリカ人の愛国心にみる 日本人とのコミュニケーションの違い

 ー CVスタッフのコラムー     
By ロドリガス晴海(CV USA)

【アメリカ人の愛国心にみる日本人とのコミュニケーションの違い】

5月の母の日が終わると、
アメリカでは7月4日の独立記念日に向けて、
星条旗、星条旗をプリントした紙皿やナプキンなど
独立記念日のパーティー用のグッズが商店の前方を占領します。
人々は星条旗のTシャツ、キャップやバイザーなどを着て、
大人も子供もアメリカの”愛国心“を表現します。

日本人の多くが日本を大好きだし、日本が世界一暮らしやすい国だと
思っている人も多いと思いますが、果たしてその愛国心を示しているか?
と問われると、それを意識して暮らしている人は少ないと思います。
日本では国民の祝日以外に日の丸を掲げている家庭はほとんど見かけませんし、
日の丸をデザインしたTシャツを着て帽子をかぶっているのは
日本好きな外国人観光客のほうが多いのかもしれません。  
自分の国に対する愛国精神を持つのは多くの国で一般的ですが、
アメリカほどその気持ちを前面に出す国は他にないと思います。
アメリカの大統領ジョン・ケネディが
「国が自分のために何をしてくれたかではなく自分は国のために何をすべきかと問え
と言ったように、
愛国心とは国を愛するだけではなく、
自分の国に役立つことをして国のために生きる姿勢です。
アメリカ人のこの姿勢のルーツは、子供の頃に学校で愛校心を植えつけられることに
あるのではないかと考えられます。
アメリカの小学校では、何かの集まりがあるたびに国旗が掲揚され、
Pledge of Allegiance(忠誠の誓い)を生徒達が声高く呼称します。
国旗規則により、忠誠の誓いは合衆国国旗に顔を向け、
右手を左胸の上に置き、起立して暗誦しなければならないと定められています。
最初は先生の言葉を復唱、小学校1-2年生になると
誰もがこの忠誠の誓いはすらすらと言えるようになります。 
またほとんどの教室にも国旗が掲げられていて、
外に集まれない雨や雪の日でも必ずこの忠誠の誓いで一日を始める学校もあります。 
日本の小学校でも朝礼を行なわれていますが、
それは毎日”国旗を掲げ、国旗に忠誠を誓う“という目的ではありません。 
敗戦国である日本は国旗が戦争のイメージが結びついてしまう世代もあるし、
”愛国心“を叫ぶことが“国粋主義“や右翼的なイメージとして
捉えられる風潮があるのかもしれません。
島国で単一民族である日本に対して、
アメリカ人はあらゆる国出身の移民たちが作り上げた異文化混雑国家です。
その中で、My origin としての Identity と
I’m American というIdentity の両方を持つことで
自分を形成しているというところがあるでしょう。
「俺のひいじいちゃんはイタリアから渡ってきたんだ、
だから俺はイタリアン!」とか
「私の祖先はスコットランド出身、イングランドではないのよ」という
自分のルーツに誇りを持ち、遺伝子を大切にしながらも
アメリカの国旗を掲げ、イベントの度に国家を歌い、
選挙には積極的に参加し、
候補者の名前と一緒に“ U.S.A! U.S.A !” と叫ぶ…
そこにアメリカ人としてのアイデンティティを確認しているのでしょう。

なぜアメリカ人は自分の誇りといった個人的な思考を
わざわざ人に対して表現しようとするのか不思議に感じます。
“暗黙の了解“ ”空気を読む“ という
”自分の意見をはっきりと表現しないことが
前提“の日本人には、アメリカ人の表現は大げさに感じるかもしれません。
しかし、多くのアメリカ人は
表現しないことに対する不安や恐怖を持ち、
人に自分の考えをはっきりと伝えないと、誤解されたり、
考えの無い人と思われたりするのではないか

と感じるようです。
そんなアメリカ人を特徴付けるのが
外に向けて表現される愛国心と言えるでしょう。

日本人の奥ゆかしさや謙遜も美徳ですが、
アメリカ人と商談をする時には、”会社や上司の考え“ではなく
自分の考えをはっきり述べ、遠回しな言い方を避け端的に信念をもって話す
ことがコミュニケーションのポイントとなります。 
日本人は”気持ちを汲む“ことができる素晴らしい人種ですが、
アメリカ人は”ハッキリ言わなければ解らない“人種なので、
日本と同じやり方ではアメリカではなかなか通用しません。
それぞれの文化にあった表現、伝え方を考慮することが
成功への秘訣です。

私が長年手掛けてきた海外展示会で出展された日本製品は、
技術は素晴らしいのに、出展者が“技術の説明”にこだわり過ぎて、
見る人に“製品の効能”がよく理解されなかった
という経験もありました。
日本の高度な技術、製品は世界でも高い信頼を得ていますが、
展示会などでは見る人に解る表現を工夫することが必要だと痛感しています。
アメリカと日本は友好国ですが、成り立ちは大きく異なるので、
コミュニケーションの方法にも違いがあります。
「いいものならわかってもらえる」
という日本の美徳も不遜になることがあります。
それぞれのお国柄を理解した上での
ビジネス戦略を立てることが成功への近道です。

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