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アメリカ最前線リポート Vol.27

ー CVリポートー
By アーカス・リツコ(CV メルマガ編集長)
【アメリカ最前線リポート Vol.27】
アメリカ連邦議会が「つなぎ予算案を可決」政府封鎖はいったん回避

11月14日、アメリカ連邦議会下院は予算執行を現行水準のまま
2024年1〜2月まで続ける「つなぎ予算案」を
民主・共和両党の議員から幅広い支持を得て賛成336、反対95で可決しました。
次は上院が法案を可決する必要がありますが、
ホワイトハウスの当局者は上院で可決された場合、
バイデン大統領は法案に署名する用意があると明らかにしています。
これにより政府閉鎖回避の道筋がつき、
予算を巡る大きな攻防は年明けに行われる見通しとなりました。

政府封鎖(Goverment Shutdown)とは?
アメリカでは過去約40年の間に、10回の政府閉鎖を経験しています。
他国ではあまり耳にしない政府閉鎖。
そもそも政府封鎖とは何なのか、
そして政府封鎖が起こるとどうなるのでしょう?

アメリカ合衆国連邦政府は、Antideficiency Actにより、
予算が未成立の際には、
法律で許可されたもの
及び人命及び財産の保全に関わる緊急のものを除き、
政府支出や行政サービスを停止すると定めています。
そして政府閉鎖中は、社会安全保障や軍などの
重要な公共サービスが停止するだけでなく、
数十万人の政府職員の給与が支払われなくなります。
数年前の試算では、給与支給停止が1週間続くごとに
国内総生産(GDP)成長率が0.1ポイント低下すると試算されています。

具体的に言えば、
今回もし政府封鎖が起きた場合は、
WIC (Nutrition program for Women, Infants & Children)
という妊婦、乳児、子供のための
特別補助栄養プログラムの受給対象者700万人が
食料供給を得られなくなる。
航空業界の1万3,000人の管制官と
5万人以上の保安職員の給与が支払えなくなり、
フライトの大幅な遅延が生じる。  
国立公園施設やワシントンのスミソニアン博物館が閉鎖。
これらの管轄の動物に食料を供給できない。
米国債の債務不履行の可能性が発生する可能性がある。
など様々な支障が生じるはずでした。

取り急ぎ、「つなぎ予算案」で、
法案は軍の建設、退役軍人給付、輸送、住宅、都市開発、農業、米食品医薬品局(FDA)、
エネルギー・水関連プログラム向け資金を来年1月19日まで手当てすることになりますが、
国防費を含むその他の連邦政府予算は来年2月2日に失効するため、
年明けには優先順位の高い1月19日失効分の予算を可決しなくてはなりません。
そしてこの協議には、
今回のつなぎ予算法案には盛り込まれていない
ウクライナ支援や国境措置なども対象になりますが、
民主・共和両党間のせめぎあいが予想されることと
一部の保守派からはつなぎ予算についてすでに反発の声が上がっていることから、
可決に至るまでさらなる対立と波乱が待っているような気がします。

 

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