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アメリカ最前線リポートVol.28 : UNLVで銃撃事件発生】

 ー CVリポートー
By アーカス・リツコ(CV メルマガ編集長)
【アメリカ最前線リポートVol.28: UNLVで銃撃事件発生】

12月6日、私が暮らすラスベガスにある
ネバダ州立大学(UNLV)のキャンパス内で銃撃事件が発生し、
3人の尊い命が奪われました。

今回の犠牲者は全員が教職員の方で
この大学で日本語などを教えていた
日本人のタケマル・ナオコさんもその一人に含まれています。
タケマルさんはWorld Languages and Cultures学部の准教授で、
著書もあり、大変有能な方でした。
また今年、同校の教員になって20年目を迎えたところだったそうです。

銃撃犯は67歳のアンソニー・ポリト容疑者。
銃撃事件を起こした建物から出てきたところを警官に撃たれて死亡しました。
犯行動機は2020年よりUNLVの教員に何度か応募したものの
採用されなかったことへの恨みと言われています。
自宅を捜索したところ、
「恨みを持っている人リスト」のようなものが見つかったそうですが、
今回の犠牲者はそのリストに名前はありませんでした。
つまり彼らは
「その場に偶然居合わせただけの不運」によって
大切な命を奪われてしまったのです。
ご家族や友人の気持ちを考えると慰めの言葉も見つかりません。
UNLVには私の友人の子供たちも多く通っており、
事件当日は彼らも教室に閉じ込められ、大変な思いをしたようです。
また、私の息子の友人は警官が犯人を射殺する現場を目撃したそうで
大きなショックを受けています。
彼らも被害者であるといっても過言ではありません。
安全かつ開放されたキャンパスであるべき大学で
このような事件が起こることはあってはならないことです。
近年、この事件の他にも大学のキャンパス内での銃撃事件は多数発生しており、
報道を聞くたびに心を痛めていましたが、
今回は地元の大学で起きた事件ということで大きな衝撃を受けています。

私は個人的にはタケマル先生のことは存じ上げていませんでしたが、
私の親しい友人の同僚であり、友人の子供たちの先生でもありました。
日本人ということで、
地元の日本人コミュニティーも深い衝撃を受けており、
先日、近隣住民が開いたキャンドルサービスにも
たくさんの日本人が訪れました。

この原稿を書いている12月13日にはUNLVのキャンパス内で
3人の犠牲者を追悼するメモリアルサービスが行われ、

ジョン・ロンバルト氏(ネバダ州知事)、キャロリン・グッドマン氏(ラスベガス市長)
を始めとする要人が多数参列し、
ステージ前方には報道のカメラがずらっと並びました。

UNLVのキース・ホイットフィールド学長は、
「この事件によって私たちの安全が奪われたと感じている人も多いと思う。
私たちは暗闇の中にいるが、光を失ってはならない。
恐怖と怒りが私たちの行動を決して支配してはならない。
むしろ、希望と不屈の精神を持って前進しよう。
私たちは強い。回復する。そして私たちはUNLVだ」
とスピーチし、
その後は3人の犠牲者と所縁の深い人々が各人を偲び、メッセージを送りました。

そして、
I know how much you mean to the world
あなたがどれだけ世界にとって大切な存在か知っている

と書かれたステッカーがメモリアルサービスでは配られました。

しかし、私は正直なところ
大切な人ならなぜこんな理由で命を奪われなければならなかったのか、
彼らの犠牲や命の重みがどれほどのものなのか、
一体どれほどの人が銃の犠牲になれば、こんなひどい事件がなくなるのか…。
と、言葉通りには受け取れない気持ちでいっぱいでした。
毎回、銃撃事件が起こるたびに同じことを思うのですが、
今回は身近なコミュニティーで起きた事件ゆえにさらに強い憤りを感じています。

普通ならば、
この事件を教訓に安全にさらに気を付け、日々に感謝して過ごす…
とありきたりのことを言いたいところ
(それはもちろん大切なこと)なのですが、
「もううんざりだ」というバイデン大統領さん、
本気でそう思うなら、
そろそろもっとまじめに銃規制をしないと
もっともっと大変なことになるよという危機感が上回る今日のこのごろです。
*銃規制の問題は以前も触れましたが、また別の機会にリポートしたいと思います。

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