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『デザイン料って何のお金?』~デザインの力とデザイン料~

 ー CVスタッフのコラムー     
By 清水保彦(CV プランニング・ディレクター)
『デザイン料って何のお金?』~デザインの力とデザイン料~

今回は、最初に写真を見ていただきましょう。
展示会ブースの「A」と「B」。
あなたは、どちらに寄ってみたいですか?

その答えを伺う前に、もう一つ質問。
どちらのブースの値段が高いと思いますか?

「A」が「B」より高いと感じた方に、さらに質問。
その差額は何に起因していると思いますか?

はい。その差額が、主にデザインの値段です。

「寄ってみたい」を作るのがデザインの力

最初の質問を思い出してください。
「どちらに寄ってみたいか?」
たぶん、寄ってみたいと感じられた方が
値段も高いと思われたブースではないでしょうか?

展示会での「寄ってみたい」度合いは、
そのままブースで話される取引の量に直結します。
ブースに来た人すべてが取引先になるわけではありませんが、
取引先化する比率が同じなら、
ブースに来てくれる人の数が多いほど決まる取引の数も増えるのが道理。
寄る気にさせるブース=売れるブース。
ブースを、そんな売れるブースに仕上げるのがデザインの力なのです。

分かりやすく「写真」の話で

よく聞くのが「学生に撮ってもらえばいいから」と、
なるべく撮影費を安くあげようとする話。
1日いろんなカットを撮ってもらって、ギャラ1万円。みたいな。
反対に大御所写真家に頼むと1カット100万円というのもザラ。
複数カット1万円と1カット100万円を比べれば、
制作実費についてのコスパは学生カメラマンの方がダントツです。

でも、その写真を見る側の人にとってはどうでしょう?
学生と大御所の撮った写真の違い。
訴求力の違い。
訴求力の高い写真をきっかけに製品が5,000万円売れたとしたら、
100万円のギャラなんか微々たるもの。
撮影にかかったお金が1万円だったとしても、
まったく製品が売れなかったら少なくとも1万円の赤字です。

いわゆる「制作」。
デザインを含むクリエイティブ領域でのお値段は、
売れるか売れないかについての対価だということなのです。

CESで試算してみましょう

CES2023の来場者数は11万8000人。
出展ブース数は2,279。
つまり、自社ブースは広いCES会場で1/2,279の存在。
CESに行かれた方はご存じと思いますが、
4日間の会期中に2,000以上もあるブース全部を回れるわけもなく。
せいぜい1日50ブース。
4日間フルで200ブースが精いっぱい。
(本当は疲れてしまうのでもっと少ない)
この200ブースにどれだけ「当たり」のブースを入れるかが、
来場者側のCES攻略の要点になります。

仮に、どのブースにも来場者がかならず1回前を通るとすると、
あなたのブース前を通る人は51人強。
(周囲も含めて平均的にそのくらいの人がブースの周りにいる)
この中の一人でも多くに「当たり」と思わせる方法が、
200/2,279の中に入る唯一の方法になります。

「デザインの力」が効果を発揮する部分はかなり多いと思われます。

お金の話に戻りましょう

さて、実際のブース制作でのデザイン料の話。
写真の話での学生1万円大御所100万円というような極端な開きはありません。

ただ「難易度」に相当する乗率は存在すると思います。
一般的に小さいブースは安く済みますが、
小さい所に多くの製品を入れ込まなければならないような
“じっくり考えて正解を導く”必要のある場合は
それなりの掛け算が適用されます。

目安は「総予算の10%~20%」。
ただしどんなに低い総予算でも、
一定の金額(10万円くらい)は最低限必要になります。
CESなどアメリカの展示会は基本施工費が日本の3倍から5倍なので、
同じデザイン料の比率でも金額的には高くなります。
その代わりと言ってはなんですが、
CESで新規取引に結び付くチャンスは、
日本の展示会の10倍では効かないと思います。

「寄ってみよう」と思わせるデザインの力。
その力が生み出す新しい取引先との取引額を考えれば、
「見えない部分(ソフト)を削る」発想は
あまり得策ではないように思います。

ことデザインに関しては、
「学生だから1万円」の手法はその1万円を捨てるだけでなく、
見込めた新規取引先を失うという大きな損失につながるのです。

あ。「Bの値段でAを作って」というご依頼は、
無料で働くデザイナーは存在しないのでご容赦ください。

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