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アメリカ最前線リポートVol.20    Stop! 繰り返される銃撃事件

ー CVリポートー
By アーカス・リツコ(CV メルマガ編集長)
【アメリカ最前線リポートVol.20
   Stop! 繰り返される銃撃事件】

67。さてこれは何の数字でしょう?

これはアメリカ国内で
2023年に入ってから、2月14日までに起きた
4人以上が犠牲になった銃撃事件の数です。
単純計算で一日に一件以上、銃撃事件が起きています。
また2020年から2022年にかけては、
3年連続で複数の犠牲者を出す銃乱射事件が
600件を突破するという不名誉な記録も打ち立ててしまいました。

ミシガン州立大学銃撃事件
2月13日にも悲しい事件が起こりました。
アメリカ、ミシガン州立大学に銃を持った男が入り、キャンパス内の2か所で乱射。
同大の学生3人が死亡し、5人が重体となっています。
容疑者は逃亡した後、大学の敷地内で自殺。
大学との関係性は分かっていませんが、被害者との接点はないようです。
私にも別の州ですが、州立大学に通う息子がいます。
子供と持つ親にとって、ある日、警察から
「お宅のお子さんが銃撃事件の被害者になり、死亡しました。お気の毒です」
という電話を受けること以上の悲劇はあるのでしょうか?
ご家族の気持ちを想像するだけで胸が張り裂ける思いです。
不運という言葉では片付けることはできない強い憤りを感じます。
昨日まで元気に学校に通っていた何の罪もない人が、
たまたま居合わせたというだけで銃の犠牲になるという不幸は
絶対にあってはなりません。

重要法案が成立したが…
こうした事件が起こるたびに銃規制が議論されるのですが、
なかなか功を奏しません。
バイデン米大統領は昨年の6月25日、
過去30年の中で最も重要な銃規制強化の法案を成立させています。
新法案は、21歳未満の銃購入希望者に対する身元確認を強化する、
精神医療や学校警備の強化策に連邦予算150億ドル(約2兆円)をあてる、
裁判官が危険と判断した人から銃を押収する措置を導入している州に対して
資金を提供するなども盛り込まれていています。
なぜこれが重視されるのかというと、
合衆国憲法が保障する武器保有権の擁護に熱心な議員の多く、
今まで銃規制強化法案をことごとく阻止してきた共和党から
賛同者が出たことで法案が成立されたからです。
この背景には、相次ぐ乱射事件、
特に昨年5月にテキサス州で起きた小学校で
多くの児童が犠牲になったことがありました。

…と、重要な法案ではあるものの、大幅な規制強化には程遠く、
多くの共和党議員は銃所持を支持する住民の選挙区から
多数選出されていることもあり、大きな改革は進んでいません。

これほどの数の銃が必要なのか
多くの国民は「護身」のために銃を保有しています。
しかしながら、現在、その数は3兆9300丁ともいわれており、
人口約3億3500万人の国にどうしてこんなに銃が必要なのか
理解に苦しむところです。
国別の銃関連の殺人事件の割合も、
2位のカナダの37%を圧倒的に離して、アメリカは79%でダントツ一位です。
銃による自殺も増えています。
驚くことに、銃で自殺した人の割合は銃で死亡した人の3分の2を占めています。
銃を持っていなければ、思いとどまることができた命もあったはずです。

銃撃と銃乱射事件を足すと、銃で死亡する確率は、351人に1人。
溺死(1133人に1人)、火災や煙による窒息死(1579人に1人)、
飛行機や船舶での事故(2499人に1人)、刺殺(2517人に1人)、
自然災害(2586人に1人)、食べ物による窒息死(3461人に1人)などを
すべて足した確率よりも高くなります。

これでも銃は必要でしょうか?
相次ぐ銃犯罪をなくすためにもっと抜本的な法案が必要です。
まず、全米ライフル協会(NRA)と共和党議員の関係を絶つこと、
それができなければ議論は始まりません。
何度も何年も同じことの繰り返しでは犠牲になった方々が浮かばれせん。

今日、ミシガン州立大学で追悼セレモニーが行われた時に、
女子学生がこう訴えました。
「なぜこんなことが起こるのか。いつまで経っても何も変わらない。
むしろ状況は悪くなっている。
でも私たちは何もできない。できることと言ったら投票に行く子とだけ…」。
投票によって選ばれた議員たちは今こそこの言葉を重く受け止め、
これ以上、無意味な銃犯罪を繰り返されないよう立ち上がるべきです。

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